【虚無】という名の最強スキル(俺は持ってない)
「うぉっ!?」
俺はすぐさまリタからの攻撃を避け、一発脚に向けて発砲する。
「あぁぁああああ!」
だが、リタの驚異的な身体能力により、当たらなかった。
「コイツッ、どんな筋力してんだよ!」
あの細身から一体どうやってその力を出してるんだ!?
なんか……少しだけスライムを思い出した。
「があぁっ!」
「よっと」
そんな呑気な事を考えている場合じゃないな。
もう一発発砲してから距離を取る。
「……」
そしてリタを観察する。
恐らく、また気絶させても効果は薄い。
どうせ気絶させて脚とかに弾を撃ち込もうとしても、他の大司教達が邪魔して来て、その間にリタは目覚めてしまうだろう。
だが、気絶していない状態のリタに当たるのはぶっちゃけ無理だ。
あの身体能力で避けられる。
……おいおい、若干詰んでないか?
「貴方の攻撃は、イイジマに効かな――」
イライザがそう言いかけた時
「あ゛ぁ? 【虚無】!」
「なっ!?」
リタがそう唱えた。
その瞬間、イライザは……消滅した。
「ふぅ、危なかったわー」
そして直後、近くにいたフィーチャリットの背後から現れた。
「ぁんぁー? どうなってるんですかぁー?」
「簡単な事よ、私は何でも出来るから、ただ彼の背後から現れたってだけ」
「死んだら何も出来ないじゃないですかぁ?」
「私には可能なの」
「へぇ?」
リタはそう言うとニヤッと笑った。
「ならば僕の【虚無】とどっちが強いか、確かめてみましょう!」
そう言ってリタはイライザの方に向かって走っていく。
「【虚無】ぅ!」
「効かないわ」
直後、イライザを包む様に真っ黒い闇が現れたが、すぐに消えてイライザはリタに対して右手を物凄いスピードで出した。
「ぶぉふ!?」
リタはその際に発生した衝撃波によって吹っ飛んだが、なんとリタは――
「ははっ」
自身の脚を先程のエリシアよりも速く、それこそ音速を超える速度で進行方向に動かし、それによって起きた空気抵抗を使って、《《跳んだ》》。
要するに、今リタがやったのは……
「二……二段ジャンプ……!?」
ゲームあるあるの物理法則完全無視ジャンプだった。
「なっ!?」
イライザもそれは想像出来なかったらしく、少し対応が遅れた。
「【虚無】【虚無】【虚無】ぅ!」
「くっ!」
イライザの周りに大量のあの黒い闇が現れる。
だが、イライザは消えた後すぐにリタの背後から現れ、また衝撃波を喰らわせた。
「あ゛ぁぁぁ!」
そう、イライザはあの図書館にいる限り何でも出来る。
だから、どんな魔法でも、どんなスキルでもイライザを倒す事は出来ない。
「……【虚無】」
リタがそう力強く唱えた瞬間、大聖堂を闇が包んだ。
「に、逃げろぉー!」
「殺されるぞぉー!」
反対派の皆んなが闇から出る為に走る。
「俺らも出よう」
「えっ? イライザさんは?」
「いやいや、イライザなら大丈夫だろ、まず死なないんだぞ?」
「そ、そうだけれど……」
ルリカの言いたい事は分かる。
だが、これは一応戦争。
死んでも大丈夫な人を頼りに逃げてるべきなのだ。
「取り敢えず行くぞ!」
「わ、分かったわ!」
そして俺らも闇から逃げる為に走り出した。
「くそっ……闇に足が引っ張られる……!」
泥の上を走ってる感じだ。
「くっ……!」
ルリカ達が脚を動かせていなかったので、担いでいる運んでいく。
「おらぁっ!」
何とか抜け出して、闇に染まった大聖堂を見る。
「うわぁ……」
「真っ黒ね……」
中から戦闘音がする。
間違いなくイライザとリタが戦っているのだろう。
「わ、私達はどうしたら良いのかしら……?」
「ここで待つっきゃないだろ」
俺がそう言った瞬間、大聖堂の中から黒い闇が爆発した。
「「「「「!?」」」」」
そして直後、
「ぐあっ!」
イライザが吹っ飛んで来た。
「イライザ!?」
「あははははぁ……」
リタがゆっくりと教会から出てくる。
「あいつ……私の能力を一部無視して来たわ」
「なっ!?」
一体どうやったんだ?
「さあ、もっと確かめましょう!」
そう言ってリタはイライザとの距離を詰めた。
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