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今まで会って来た人達にもう一度会いに行こう ⑨

「うわぁ……」


 誰に需要があるのか全く分からないベクト爺の写真が、所狭しと貼り付けられた部屋をぐるりと見回す。


「……何だこりゃ」


 ハッキリ言ってしまうと、凄く目に悪い。


 うわ、裸体の写真まである。


 ……めっちゃムキムキやんけ……。


 だからあんな身体性能してるのか……。


 その時、ギィッと扉が開く音がした。


「!」


 俺はすぐに部屋の隅へと移動する。


 入って来た際、ここは死角になる。る


「んん……?」


 入って来たのは、まあやはり一人の森人族だった。


 因みに、何で【透明化】や【足音消去】をやらないかと言うと、前にも言ったが彼らには魔法やスキルが一切効かないのだ。


 もちろん、自分に対してのやつもだ。


 やっぱり、こういう時に困るんだよなぁその特性。


「壁が開いていたからバレたのかと思ったが……誰もいない様だな……ふぅー」


 いるぞー、お前の斜め後ろにいるぞー。


「鍵を掛けてたのに掛かってなかったのだけが気がかりだが……まあ大丈夫だろう」


 うん、大丈夫じゃないぞ。入られちゃってるぞ。


「はぁ……それにしても……やはりベクト様の()姿はいつ見てもお美しい……」


 そう言って彼はベクト爺の写真を超至近距離から見始めた。


「はぁ……はぁ……」


 うわっ、めっちゃ興奮してる……!


 どうしてそんなに興奮出来るんだ……!


「ベクト様ぁ……!」


 あー……俺の今の気持ち分かるか?


 とんでもなく歳を取ったムキムキのお爺さんの写真を見て興奮する成人男性を部屋の隅から隠れて見なくてはならないというこの気持ちを。


「あぁ……!」


 うわぁなんかよだれ垂らしまくってるし……。


 正直言って、この絵面は見るに堪えないものがある。


 どうにかして出ないと……。


 幸いな事に彼はあの写真にめちゃくちゃ集中しているし、ちょっと音を立てたくらいならバレないだろう。


『バキィッ!』

「……」


 おい、何でこんな所に枝があるんだよ!


 こういう時に限ってテンプレ起きるなよ!


「……誰だ?」

「あっ」


 見ると、男は俺の事をとんでもない形相で睨みつけて来ていた。


「あー……逃げるが勝ちっ!」

「おいっ!」


 流石の森人族も俺のはスピードに追いつかず何とか撒けたようだ。


「はぁ、はぁ」


 それにしてもとんでもないものを見てしまったな……。


 あんな性癖の人もいるんだなぁ……。


 まあ、流石に誰かに言いふらすのは可哀想なので、内緒にしててやろう。


 その後俺は、この村を見て回って自室に帰った。


 そして翌日


「ほぉう、もう行くのか」


「あぁ、もう少し居たかったが、期限がな」


「そうか……」


 ベクト爺は少し悲しそうな顔をした後


「まあお主ならばその戦いにも勝てるじゃろて」


 と笑って言った。


「ああ、間違いないな」


「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、自信満々じゃのぉう」


 そう言ってベクト爺は自分の長い髭を撫でた。


「それじゃあ、俺はもう行――」


 その時、


『パシュッ』


「!」


 何かが物凄い勢いで飛んできたので、俺はそれを体を(ねじ)る事で避けた。


「これは……何者じゃぁ!? 何者じゃぁぁ!?」


 俺に飛んできたのは、魔矢だった。


「ご安心下さいベクト様!」


 そしてその矢を放った犯人は木の上から声高らかにそう言った。


「今貴方様に蔓延(はびこ)る悪を消し去ります!」


 昨日、あの特殊性癖部屋にいた森人族だった。


「どちらかというと、お主の方に見えるがのぉう……」


 ベクト爺のそんな言葉も彼の耳には入らず、彼は再度俺に魔矢を放って来た。


「捕えよ!」


 ベクト爺がそう命令すると、近くにいた森人族達が彼を捕えるために動いた。


 ただ、彼はひょいひょいと軽々と木から木へと移動して、そのジャンプしている最中なんかに魔矢を放ってきていた。


「くぅっ……! 仕方ないのぅ!」


 ベクト爺は右手を彼にかざして


「はぁっ!」


 と叫んだ。


「!?」


 その瞬間、彼は力が抜けた様に地面にドサッと落ちて来た。


「さあ捕えよお主達!」


 そうして俺に魔矢を放って来た奴は他の森人族に捕えられた。


「さてと……お主にはどうやら樹神様の教えが足りないらしいのぉ……」


 あっ、アイツ死んだわ。


「喜ぶが良い。我々森人族にはたぁーっぷりと時間があるのでな。お主に樹神様の事を教える時間もたぁーっぷりあるわい」


 そう言うと、ベクト爺はこちらに来て、


「すまんのぉうイイジマ。騒がしくなってしもうて」


 と言った。


「いやいや、気にするな。何事にもハプニングは付き物だ」


「そう言ってくれて助かるわい。それじゃあ儂はあやつにちょっと教育をしてくるからの。また会おうぞ」


「ああ、またな」


 そう言ってベクト爺はあの森人族を引きずって行った。


 あれは……間違いない。240時間ぶっ続けだな。


「ふぅ、それじゃ、行こうか」


「え、ええ。ところで、彼は何だったの?」


「あー、道中話すよ」


 そう言って俺らは、王都へと帰るのであった――。


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