今まで会って来た人達にもう一度会いに行こう ④
「それじゃあ、またな」
「ああ、また」
魔王城の前に、俺達とアルス達がいた。
そう、これから次の場所である、ベーナダンジョンに向かうのだ。
「魔王様もどうかお元気で」
「皆んなもねー!」
そう言って俺らはあの葉っぱに飛び込む形のテレポート裏技をやって、一度王都に帰り、そこからベーナダンジョンのあるルード街へのテレポート裏技が出来る場所へ向かった。
「……うわぁ」
そして開口一番にその一言。
「思い出したか?」
「思い出したくなかったわ」
そう、ルード街に行くには7mある木の天辺に行かなくてはならない。
だが前は自力で登ったが、今回は違う。
ジェットパック君がいるからな!
「んじゃま、行くから俺に掴まってくれ」
「うぅ……」
ルリカが半泣きになりつつ俺に掴まる。
そして皆んな掴んだのを確認してから、俺は木の天辺まで上がった。
「それじゃあ前にやった通り……ニルは初か。取り敢えず、そことそこの枝に手をついたあと、手を頭より上に伸ばしてあそこに突っ込んで」
そう指示をして、あの時と同じ様に俺が先に手本を見せた。
先に俺が到着し、皆んなを待つと、約30秒してから皆んなが来た。
そう、ニルに全員しがみついているのだ。
ルリカはもう半泣きじゃなかった。4分の3泣きだった。
「それじゃあベーナダンジョンに行くぞー」
「うううっ……」
「……少し待つか」
「そうしよう……」
「大丈夫? ルリカお姉ちゃーん?」
ルリカが落ち着くのを待ち、俺らはベーナダンジョンへと向かった。
「さて、と」
ベーナダンジョンの入り口の横にある石を押し込み、あの石板を生やす。
「懐かしいなぁこれも」
「そうね……これで一気に10層まで行ったわね」
「そうだったんだ……」
確か、ニルと一緒にジルファーナに行った時にはこれ使わなかったんだっけか。
「それじゃ、詰めて詰めてー」
俺にめちゃくちゃ近付いて貰って、俺は10層目に飛べるボタンを押した。
そして視界が白に染まった後、徐々に見える様になっていく。
「着いたぁー!」
レカが笑いながら階段を降りる。
「あぁおい! そんな焦るな!」
あの隠し部屋は一人じゃ行けないだろ!
俺らは急いでレカの元へ駆け寄り、あの隠し部屋への道を開けた。
そしてその隠し部屋の中にあるランプを下に下げて、隠し部屋の中にある隠し階段を出す。
「よーし、じゃあ降りてくか」
「うん……!」
俺らはぬめる階段をゆっくりと降りて行った。
「た、辿り着いた……」
入り口に立ち、辺りを見回す。
ドワーフと獣人族が沢山歩いていた。
「取り敢えず、どうするか」
俺が会いに来たのはもちろんこの街の皆んなにではあるのだが、やはり一番会いたいのはリーファだ。
だが彼女はあくまで女王。
友達と気軽に会う感じで会いに行く事は出来ないだろう。
……いやまあ、彼女なら俺の為に予定を全部消して会ってくれそうだけどな……。
流石にそんな事をさせたくはない。
「イィーイィージィームワァァァァァァァァアアアア!」
「「「「!?」」」」
何かが、物凄いスピードで俺ら、正確には俺に接近していた。
俺の名前呼んでたし。
そしてそのナニカは大ジャンプし、俺に向かって落ちて来た。
ので、普通に左に移動して回避する。
「ぐぶぇ!」
そう声を出したのはこの国の女王であるリーファだった。
今間違いなく女王が出してはいけない声を出したが、気にしないでおこう。
「ちょっと! 何で避けるのよ!」
「いや流石に今のは避けるだろ。怖かったぞ普通に」
「こ、怖かった……」
リーファがカチンと石像の様に固まった。
「と、取り敢えず、久しぶりね! イイジマ!」
「……何で来る事が分かったんだ?」
あの宮殿からここに来るまでは彼女のスピードだと最低でも5分ほどはかかってしまうだらう。
つまり、俺らが階段を降りるぐらいにはもう走り出していた事になる。
マジでどうやって分かったんだ?
「勘よ!」
「……」
勘かぁ……。
「……リーファ」
「何かしら!?」
「怖すぎ」
「ええっ!?」
こうして俺らは、久しぶりにリーファと再会したのだった。
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