イライザへの頼み事
「まあ大体察しは付くわ。てか心を読んだから分かるわ。私に教会を倒す手伝いをして欲しいんでしょ」
歩きながらイライザがそう言った。
「そうだ。お前がいれば百人力ってやつだ」
「ま、そうよね」
「で、ダメか?」
「ダメよ」
「だよなぁ」
「第一、私は平和を愛する精霊種なのよ? 戦闘に参加するわけ無いじゃない
「んー……?」
平和を愛する……ねぇ……。
「ちょっと! 私ほど平和を愛してる精霊種はいないわよ!?」
「そうかぁー?」
「そうよ!」
まあ確かにいきなり殴りかかってこないだけマシか。
「うんうん、理解が早いのは良い事ね」
「はぁ……まあ取り敢えず、俺はお前を戦いに参加させたりはしない」
「……ふぅん?」
「この図書館にいてもらっても構わない」
「じゃあ何を手伝って欲しいのよ?」
「俺らを、勝てる様にしてくれ」
「……なるほど」
そう、イライザが俺らが勝つという風にすれば、100%勝てる。
「出来ればその過程も良くしてくれるとありがたい」
「具体的には?」
「死者がいないとか。相手があり得ないミスをしたとか」
「まぁ大体言いたい事は分かったわ。でもまぁ……貴方知ってるでしょ?」
「? 何をだ?」
「私が精霊種だって」
そう言った瞬間、周りの本棚が動く。
「えぇーマジ?」
「マジよ」
どうやら、周りは迷路になった様だ。
「貴方がこの迷路をクリア出来たら、そうしてあげる」
「おぉ」
「ただ、出られなかったら……」
「負ける、か」
「そうよ。と言っても、貴方がいなかったらどの道そのアルカニット教会反対派は負けると思うけど」
「分かった。迷路から脱出させて貰おう」
イライザがニンマリと笑う。
「それじゃ、頑張ってね、イイジマ」
「ああ」
俺はすぐに【神速】を発動して、駆け出した。
「……なあイライザ」
「何かしら?」
「スゥー……ズルしてないか?」
「しっ、してないわよ?」
「ほぉー?」
だったら何でさっき通った道を本棚が塞いでるんだろうなぁ〜?
「か、勘違いしてるんじゃない? 別の道と」
「俺の暗記力舐めんな。今まで通った道全部覚えてるわ」
「どんな記憶力してるのよ貴方……」
「で? ズルしてるのか? してないのか?」
「ズルをしているかどうか、と言ったら、答えは『していない』になるわ。
ここは私の図書館。つまり、私がルールみたいなものよ。だから、私がこの迷路の本棚を動かして道を塞ごうが、ズルではないわ」
「うわー、暴論だ暴論」
「私精霊種よ?」
「……それもそっか」
もうその一言だけで納得出来てしまう。
「んじゃあどうすっかなー」
試しに本棚をぶん殴ってみようとするが……。
「こら、ダメよ」
「まっ、やっぱりか」
イライザに止められた。
「壁を貫通したりは……」
「ダメ」
「それもか……」
他に何か出来るのあるか?
……いや、無い。
「……詰んだか?」
「詰み、かもね」
ちょっと座って考えよう。
まずイライザを倒すというのは無理だ。
死ぬ。
でもって、スキルにも有用そうなのは無い。
新しく取ろうにも、この間の【透明化】強化の為に使ってしまった。
「うーん」
寝っ転がって左右にゴロゴロする。
何かないかぁー?
「…………あぁっ!」
思いついたぞ!
肘でジェットパックのスイッチを入れる。
念の為着けてて良かったぁー!
そのまま浮上し、本棚の上に行く。
「えっ、えぇ!?」
ふっふっふ……イライザよ、まさか俺も空を飛べるとは思ってなかったろ?
「じゃあイライザ、約束、守ってくれよ!」
そう言って俺は見えたゴールまで飛んで行く。
「ちょっ、ちょっと待ってぇー!」
急に目の前に本棚が現れる。
「おわぁ!?」
急いで方向転換をして、ギリギリ本棚にぶつからずに済んだ。
「おいおい、危ないじゃないかよイライザ!」
「流石にそれはダメよ」
「えぇー」
「……分かったわよ。本棚は動かさないであげる」
「ホントか!?」
「ただ、前より物凄く難しくしてあるから」
「分かった。まあ塞がれないだけマシだ」
そして俺は地上へと降り、そのまま【神速】を発動して走り始めた。
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