会議
「んじゃまず、ヴェリト」
「はい」
「あいつ、リタをどうやって捕まえたのか教えてくれ」
「構いませんが……必要ですか?」
「必要だ。お前のやった方法で、他の奴を捕らえられるかもしれん」
「……なるほど」
つまり、色んな場所で分散してやれば、あの黄土色コート男に連れ去られる前に何かを吐かせられるって事か。
「分かりました。ではお話しいたします。と言っても、そこまでの手順を踏んだりはしていません。あの時、リタから一緒にお茶でも飲まないかと言われたので、了承し、背後を向いた瞬間【眠り付与】をやりました。ただそれだけです」
「なるほどな……」
ギリッダが顎に手をやる。
「つまりあいつは、状態異常魔法、または状態異常スキルを向こうにする物を持っていないって事だな」
「そういう事ですね」
「ふむ、良い収穫だ。リタ、無の大司教にはそういうのが効く。つまり……」
「僕も出来るって……事だね……」
リュークがそう言う。
「そうだ」
リュークが扱う属性は闇。
そして状態異常系統のものは一括して闇属性。
リュークめっちゃ適正あり。
「他に使える奴は?」
「「「「「……」」」」」
「いないか」
つまり、再度捕まえられるのは俺かリューク。
ただ、俺はもう不可能だろう。
怪しまれてるってレベルじゃない。
「それじゃ次に、あの黄土色コート野郎だ。あいつについてまず何か知ってる奴は?」
ニルが、スッと手を挙げた。
「「えっ」」
ルリカとレカが同じ様な声を出す。
「ルニト、言って貰っても良いか?」
「うん……」
ニルは自分が傭兵であった事を隠して、あの男に助けられた事を話した。
「なるほど、じゅう……じゅう……その銃ってのを持ってたら、見せて貰えるか?」
ニルが途中で話した男の武器である銃が気になったらしい。
「これです。まあこれと全く同じかどうかは分かりませんが」
俺は銃を机に置く。
「これが……銃……触っても良いか?」
俺がコクリと頷くと、ギリッダは持って色々な角度から見たり、構えたりした。
一応、引き金にロックを掛けてあるので暴発する事は無い。
「この銃ってのは、飛び道具、何だな?」
「そうです。そこの出っ張った場所を押してみて下さい」
「ん? ここか? うおっ!」
マガジンがガコンと机に落ちる。
「これは?」
「それが、弓矢で言う矢です」
「こんなちっこいのが……矢……!?」
なんかルリカも似た様な事言ってたなぁー。
「その矢……弾と呼ばれているのですが、それがそこから亜音速で発射されるのです」
「亜音速!? とんでもねぇなぁ……」
ああ、本当にとんでもねぇよ。その武器は。
「ありがとう」
銃を返して貰い、マガジンを装填し、ベルトに挟む。
「よし、じゃあ他に、何か大司教の情報を手に入れた奴は?」
レイーナが手を挙げた。
「何だ?」
「正確に言うと大司教の事じゃ無いんだけどね……その、大司教に対して、なんかフードが尖った人が話しかけてたのよ」
「ほお?」
「それで、その人の事を、大司教は……言伝者って呼んでいたわ」
「言伝者……ねぇ……」
言伝者、何かを伝える者、か。
誰からだ?
大司教達に何かを伝える……まさか。
「その言伝者という者達、もしかして、教皇からの言伝を知らせる者とかではないでしょうか?」
「「「「「!」」」」」
皆んなが驚きの顔を浮かべる。
「確かに、あり得るな……大司教達に何かを伝える、つまり何かを命令出来るのは、教皇ただ一人! つまり、言伝者も捕まえて居場所を吐かせられれば、教皇の事を洗いざらい聞ける!」
その言葉で、少し皆んなの元気が出た様だ。
「んじゃどうするんだ? 言伝者を捕まえるのか?」
「いや、上からの命令はまず中に潜り込んで情報を得る事だ。ここで無理に争い事を起こさなくても良いだろう」
「あっ、確かにそうだな」
アルセーはそう言って床に座った。
「それじゃあ皆んな、一度自分の家に戻って、準備してくれ。明日からはお前らは位が上がってるんだからな。緊張感持って行けよ!」
「「「「「おう!」」」」」
そして俺らは一度家に帰る事にした。
もちろん俺らは、細心の注意を払って――。
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