【時間停止】
ニルと対戦相手が、闘技場の中央に近い位置に立つ。
「始め!」
信徒がそう叫び、二人はゆっくりと円形に歩き出した。
「……」
「……」
お互い、無言が続く。
そして――
「……フッ……!」
ニルが駆けた。
対戦相手は【加速】を発動して避けようとしたが……。
「遅い」
ニルの剣先から発生した爆発によってまず走る事が出来なかった。
「あれは……ルール違反では無いのか?」
「審査員、どうなっている?」
そんな声が待機室から聞こえる。
まああれはルール違反じゃないな。
多分だがあの爆発は無属性。
つまり、無属性魔法、またはスキルで生み出した爆発で攻撃してあるだけだ。
セーフセーフ。
「くぅっ……! おい審査員! 今剣から爆発が起きたぞ! 剣にしてある細工で攻撃して来たぞ! ルール違反じゃないのか!?」
対戦相手がそう叫ぶ。
「魔法及びスキル監視装置は、スキルが発生したと感知しています。よってルール違反ではありません」
よし、審査員からもセーフ判定出た。
これでルール違反だと言う奴はいなくなるだろう。
「うっ、うおぉぉぉぉぉ!」
あちゃー、お相手さん自暴自棄になっちゃってるよ。
「…………」
ニルが剣をゆっくりと構える。
「……何でだ?」
何故、あの距離で構えた?
剣先どころか、爆発すら届かないだろ。
『ドゴォーン!』
「!」
おぉおぉ、マジか。
「はぁっ……!」
ニル、地面を爆発させて吹っ飛びやがった。
そして対戦相手に接近したところでまた爆発を起こす。
「ぐあっ!」
お相手さん、【加速】以外何も使えてねぇ……。
「クソッ!」
おっ、お相手さん逃げ始めた。
まあ、意味無いんだが。
「ぐはっ!」
すぐに追いつかれ、爆発を受ける。
爆発で壁に叩きつけられ、どうやら骨折した様だ。
骨折した箇所を押さえて、壁に背を預けながらゆっくりと立ち上がる。
「どうする……? 降参する……?」
「くっ、するものか」
「そう……」
その後訳10分、ニルは対戦相手の近くで爆発をさせまくった。
「こうさ……ん……だ……」
もう色んな場所が折れまくっている対戦相手がそう言った。
「勝者、トルニさん!」
よし、皆んな勝てたな。
「リトヴェさん、出番です」
お、次は俺なのか。
他にも人はいるのに。
「分かりました」
まあたまたまだろう。
俺も闘技場の上に立つ。
相手は少しだけ小柄な奴だった。
だが、向こうも俺と同じくお面を付けているので、素顔までは分からなかった。
「それでは、リピュド・チルタさん対リトヴェさんの昇格戦、開始!」
「「【神速】」」
おっ、向こうも神速を使えるのか。
だが、どうやら俺の方がスピードは速いようだ。
よし、勝てそうだ。
「じぃ、【時間停止】ぃ!」
「!?」
いつの間にか、目の前には対戦相手の奴がいた。
……マジか。
こいつ、【時間停止】使えるのか。
あのスキルはステータス取得画面じゃ取得出来ないスキルだ。
色んなクエストをクリアで達成出来るやつ……のはずだ。
俺はその方法で入手してないから知らない。
え? 俺の入手法? もちろん裏技だ裏技。
「がっ」
腹に衝撃が走る。
どうやら、何らのスキルで攻撃を喰らったらしい。
ヤバイなこれ……。
「【超回ふ――」
言い切る前にまた何らかのスキルを喰らった。
「ならば……【薬品せ――」
また喰らった。
が
「い成】!」
気合いで言い切った。
俺の服の中にポーションが生成される。
これには最近気付いた。
そう、ポーションが生成される位置を自身で決められるのだ。
思えば、全部自分が意識した場所にポーションが生成されていた。
なので、今回は服の中だ。
また時を止められた様で、顔面にスキルで攻撃された様だ。
鼻血が垂れる。
「おらっ!」
薬品を飲む為に口に運ぶ。
だが、まあ想像通り瓶が割られた。
「まあ……想定済み……ですね」
一滴でも飲んだら効果ある様にしておいて良かった。
さて、このポーションの効果はと言うと……
「ほぉー」
「!?」
「これが時間が停止した世界なんですか……」
「え、えぇ!? な、何でぇ、時は止めたはずなのにぃ……」
「先ほどのポーション。あれの効果は、時空が停止しても動ける様になる、です」
「くっ……えいぃっ!」
空間を歪ませる攻撃スキルをして来たが、俺はそれを余裕で避ける。
そして俺は――
「【創造】」
と、唱えるのだった――。
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