昇格戦、開始ぃ!
「すみません」
「おや!? 貴方はこの間入信した……!」
「はい、そうです」
翌日、俺らは教会にいたあの案内してくれた信徒の前にいた。
「どうなされました?」
「その、位を上げたいんですが、手続き的なものはここで出来るのでしょうか?」
「あぁ、なるほど! でしたら、まずはここにサインをお願いします!」
そう言って一枚の紙が手渡された。
まあ内容としては、対戦相手はランダムだよーとか、反則行為をした場合はちょっとヤバイよー的な説明が書いてあるだけだった。
サインもその紙に書かれた内容が分かってるかどうかの確認みたいなものだ。
パパッとサインをし、信徒に案内されて闘技場みたいな場所の待機室に行った。
「それでは、しばらくお待ちを」
そう言って扉がパタンと閉められた。
「んじゃ、ルールを再確認しとくか」
「分かったわ」
ルールは至ってシンプル。
まず魔法、またはスキル以外での攻撃は禁止。
そして今自分が所属している教会の属性意外の魔法、またはスキルも禁止。
骨折以上の怪我は禁止で、それ以上の怪我を負わせた場合は問答無用で失格となる。
試合は1対1で行われ、この際に外部からの干渉などがあれば一時中断となる。
まあ当然だな。
勝敗が決する瞬間は、どちらかが降参した、またはどちらかが続行不能と判断された場合に決する。
位が低い者が勝った場合は、位が高い者と地位が入れ替わる。
位が低い者が負けた場合は、何も変わらない。
が、再挑戦するまでに1ヶ月のインターバルが必要。
とまあ、こんな感じのルールだ。
よーするに、この試合、絶対に勝たないとって訳だ。
「ゼーレさん。出番です」
一番最初はどうやらルリカの様だ。
「んじゃ、頑張れよ」
「ええ、行ってくる」
ルリカが部屋を出て行った。
待機室からは、闘技場の様な場所が見える様になっている。
あとなんか音声も聞こえる。
まあ魔法的なやつで聞こえる様になっているんだろう。
「それでは、シャ・ハイさん対ゼーレさんの昇格戦、開始!」
「ふっ、貴様が私の対戦相手か……小柄な女……ククク……貴様などに私は倒せなぐはぁっ!?」
シャ・ハイが吹っとんだ。
うわー、あんなにフラグを立てまくる奴って存在したのか。
もうフラグを立てすぎて勝てる要素が見つからないぞ。
あと、今ルリカが何をしたのかというと、【神速】を発動し、シャのすぐ横を高速で通過して風圧で吹き飛ばしたのだ。
何故そんな事をしたのかというと、まずルリカはそれ単体の攻撃系スキルなどは持っていない。
そして、この試合のルールには、魔法、またはスキル以外での攻撃は禁止とある。
なので、それ以外で攻撃するほかないのだ。
「ぁっ! ぐあっ! ちょっ! 止めっ! ぐあぁっ!」
ルリカがシャの周りを高速で移動して、吹き飛ばしまくる。
てか、【神速】の風圧程度であんな吹き飛ぶってどんだけ弱いんだ。
常人でもせいぜい5cm後方に押されるかどうかくらいだぞ?
よくあそこまで吹き飛べる。
まるでコメディ映画でも見ている様だ。
「やっ、止めっ! こっ! 降参! 降参だ!」
ルリカが動きを止める。
「シャ・ハイさんが降参した為、勝者はゼーレさんになります!」
よし。
まあルリカならいけるとは思っていた。
「それでは次はワレレさん。出番です」
ルリカの次はレカらしい。
「頑張れ!」
「うん!」
レカが闘技場に行く。
「それでは、開始!」
その合図が聞こえた五秒後……。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ! こ、降参だぁ! 降参だぁ!」
相手が泣き喚いていた。
えー、何をしたのか説明しよう。
あの黒いナンカを100連発した。
うん、俺でも降参しかけるわ。
お相手さん、可哀想に……。
てかこれ多分試合最短記録出たよな?
出ちゃったよな?
「そ、それでは次はトルニさん、で、出番です」
少し動揺した信徒さんがニルにそう言った。
「勝ってきてくれよー?」
「言われ……なくても……」
そしてニルは待機室を出ていき、俺は闘技場を眺めるのであった――。
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