アルカニット教会へのアッツイ想い
「それじゃあ行くぞ」
全員がコクリと頷くと、ギリッダが拠点の扉を開けた。
そして俺ら素早く移動し、大通りの方に出る。
ちらほらと、俺ら以外にもアルカニット教会の信者の格好をした人がいた。
まあ、あれは本当の信者だろう。
「バレない様にしろ、俺らはまだ教会の信徒になる登録をしていない」
アルカニット教会に入信するには、冒険者ギルドの様に登録するしか無い。
登録していないと分かれば……まあ、どうなるのかは想像に任せる。
「分かってる」
リコがそう返事をすると、辺りを見回す。
「この先はもっと信徒が増える。もう少しスピードを上げるべきだ」
「聞いたなお前ら? 全力で走れ」
いや俺らが全力で走ったら逸脱者だってバレるんだよ。
まあ、大体80%の力くらいで走るか。
スタタタッと一斉に走り出す。
皆んなスピードが以外と速かったので、案外早くリーチャニット教会に着いた。
「すみません」
ギリッダが、先陣を切って受付に行く。
「おや? もしかして! アルカニット教会に入信したいという方々ですか!?」
「ええ、その通りです……」
「素晴らしい! もう服まで用意してあるなんて! 本当に素晴らしい! アルカニット様はさぞお喜びになられているでしょう! さあさあこちらへ! ご案内いたします!」
「お、おう……」
ギリッダ、素が出てるぞ素が。
「着いて来て下さい!」
信者に言われるがまま、俺らは教会内に入る。
内装はかなり綺麗で、天井にはなんか神話の絵みたいなのが描かれていた。
「こちらです!」
俺らは右の方の部屋に案内された。
どうやら、ここで信者になる為の登録をするようだ。
「それではこちらの紙にお名前と、ご年齢と、職業、主に使う属性とそして趣味。それから、アルカニット教会に対する想いを書いて下さい」
全員に紙が配られ、俺らはそこに記入をする。
「いいか、偽名を書けよ、絶対にな」
ギリッダが小声で俺らにそう言って来た。
大丈夫だギリッダ。分かってる。
名前を偽名で書く。
……俺らって一応今も偽名な筈なのに、また偽名を作らなきゃいけないのか。
まあ、名前の順番を入れ替える感じで良いか。
【テレパシー】でルリカ達にもそう伝える。
コクリと頷いたルリカ達は、名前の記入欄に偽名を書き始めた。
因みに俺の名前はリトヴェとなった。
何か英単語で聞き覚えのある感じになってしまった。
……俺だけか?
年齢もまあ20歳を超えさせよう。
色んなところに行けるかもだし。
職業は……うーん……まあ冒険者で良いか。
主に使う属性……つまりこれは、俺がどこに所属されるか決めるって感じのやつだろう。
今の所情報が無いのは、風、光、闇、無だ。
忍びの里で水の大司教を助けた奴がこのどれか何だろうが、見当がつかない。
だって向こうは魔法を何もやって来なかったしな。
こうなると、まあ俺がいつも使っている属性である無になる訳だ。
まあまだ情報が無い奴だし、結果オーライだ。
次は趣味か……趣味…………裏技探しなんて書けねぇぇー!
書いたら即行逸脱者だってバレるー!
えーと……まあ、無難に読書にでもしておくか……。
そして最後……アルカニット教会に対する想い。
知らねぇよんなもん!
興味無ぇし!
だが書かないとマズイ……よし、取り敢えず知ってる知識だけで乗り切ろう。
紙に一通り書き、ここまで案内してくれた信者に渡す。
「お名前は……リトヴェさんですね! これからよろしくお願いします!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「年齢は22歳……お若いんですね!」
「ありがとうございます」
「職業は冒険者で、主に使う属性が無と。そして趣味は読書……ッ!?」
俺のアルカニット教会への想いが書かれた部分で信徒が物凄い驚いた顔をする。
「こっ……」
「こ?」
「こんな素晴らしい想いを抱いているなんて! 素晴らしい! 素晴らしいですよ! 貴方ならばきっと大司教様方の様になれます! ええ! きっと! いえ! 絶対に!」
そう言われて手を握られ握手をされる。
うわぁ……人との距離感を知らないタイプだこの人……。
そして他の皆んなも紙に一通りの事を書き、信徒に出した。
皆んなの偽名を説明しておこう。
ルリカはゼーレ。
レカはワレレ。
ニルはトルニ。
ギリッダはギダーレ。
リコはコーリ。
リューク・ダレウスはリュレダ。
ジャストは……おいおい、ジャストのままだぞ!?
俺が書き間違えてると言って変えて、ジェルストとなった。
リィナ・カリナはリィリ。
レーダス・ペルドはレペド。
アルセー・トビットはアッセル。
ゲリトは……モンスターの為ならなかった。
ので、ギリッダのフードの中に隠れている。
ギリッダは意外と小さくなれた。
レイーナ・リーネはレイリー。
こんな感じになった。
「それでは、皆さんを案内します!」
そう言って部屋を出ていく信徒に、俺らは黙って付いて行くのだった――。
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