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お酒はもうトラウマやで……

「……っ!」


 えーと……何が……あったんだっけ……?


「あっ、起きたか」


「うおっ」


 横にはリコとルリカ達がいた。


「すまんバカジャストが。あんたにウォッカなんて飲ませちまって」


「い……いえいえ、お気になさらず」


「それより、体調はもう大丈夫なのか?」


「もうすっかり元気になりました。ご心配ありがとうございます」


「なら良い。あぁあとこれ」


 そう言って渡されたのは……


「!?」


「〝あんたの着けてたお面〟」


 急いで顔に触れる。


 ……無い、お面が無い。


 つまり、素顔がバレた……。


「んな顔するな。私とあんたの仲間以外誰も見てねぇよ。まあ、ジャストも見た可能性はあるがな」


「……はぁー」


 どうしたもんか。


 リコがアルカニット教会のスパイだって可能性があるのに……。


「ほら、元気ならさっさと着けて皆んなの所に行くよ」


「あの」


 部屋を出ようとするリコを呼び止める。


「何?」


「私がお酒を飲んだ後、何があったのでしょうか?」


 そう言うとリコは先程座っていた椅子に再度座った。


「あんたがジャストにウォッカを飲まされてぶっ倒れた後、強引に飲ませたせいで下部分が取れかけててな。

急いでそのお面を戻そうとしたが、その時丁度取れちまったんだ。

んで、まあ私があんたの顔を隠しながらここに運んだって感じだ」


「それは……いやはや、本当にありがとうございました」


「良い良いそういうのは。ほら行くぞー」


 リコはスタスタと部屋から出て行ってしまった。


「……大丈夫?」


「ああ、まあ何とかな」


 ルリカ達と少し会話をし、お面を着けてから俺らは皆んなのいる場所に戻った。


 すると、俺に気付いたジャストが目の前に来た。


「あぁー、ヴェリト……だったか? すまなかった。ウォッカを飲ませちまって。未成年だなんて知らなくてよ……」


「お気になさらず、あの場ではあの様な事もあるでしょう」


「うぅっ! お前ぇ良い奴だなぁ!」


 ジャストがガシッと俺を抱きしめてくる。


 うっ……! こう言うのも何だが、汗臭い……!


「何かあったら俺に言え! 絶対ぇ助けてやっからよぉ!」


「分かりました。その時はお願いします」


「ガハハハハハハ! 任せろぉ!」


 よし、取り敢えずジャストには借りを作れた。


 これでまあ何かあったら協力してくれるだろう。


「まあ、ヴェリトはまだ疲れているだろうし、今日は解散か?」


 数人がジャストをジロッと見る。


「す、すまねぇ……」


「まあ、皆んなも調査で疲れているだろうし、どちらにせよそろそろ解散時だっただろ? それじゃあ、今日はこれにて解散とする! 各自自分の住んでる所に帰れ!」


 ギリッダはそう言うと部屋を出て行った。


「帰るかー」


「うん……」


 アルセーとリュークが部屋を出て行く。


 そして次々と色んな人が出て行って、俺らとリコだけになった。


「んじゃ、私も行くよ。あんたも早く帰んな」


 リコはそう言って出て行った。


「……私達も帰りましょうか」


 ルリカ達がコクリと頷いたので、俺らはルリカの家に帰ったのだった。





「いやー、疲れたなぁー」


【神速】を発動して家に帰ったので、仮に追っ手がいても追いつけないので撒けただろう。


「お疲れ様ー、それにしても本当に大丈夫? ウォッカそのままのやつを飲まされたのよね?」


「ああ、まあもう大丈夫だ。ただあれやばいなぁ。喉が凄ぇ痛くなる」


「うわぁ、キツそう……」


「取り敢えず……部屋で……休んだら……?」


「うーん、まあそうだな。今日はもう特にする事もないだろうし、休むとするよ」


「うん……それが良い……」


 俺は自室に行って横になり、お面を机に置いた。


「ふぅー……まさか、初日で素顔がバレるとはなぁー」


 流石に予想してなかった。


 まあ、幸い見られたのは一人だったから良かった。


「……リコか……」


 個人的にだが、俺は彼女がアルカニット教会のスパイの可能性は低いと思っている。


 理由は、あのギリッダからの信頼のされようである。


 俺がスパイかどうか確かめる為に今日は俺と一緒の所に配属された訳だろうし、アルカニット教会の信徒ならば流石にあの場じゃボロが出るだろう。


 なので、俺はそう思った。


「うっ……また眠くなってきた……」


 そして俺は――そのまま目を閉じた。


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