交友関係……深めたいんだけどなぁ
会議室に入り、中央の地図が乗った机を囲む様に俺らは立った。
「さて、俺らは今日、アルカニット教会周辺の調査をする予定だった。覚えてるな?」
皆んながコクコクと頷く。
「よし、新人!」
俺らが呼ばれる。
「何でしょうか?」
「お前にとって初めての仕事をやろう」
うわ、この展開はなんか面倒な仕事を言い渡されそうだ。
「お前には、この近辺で調査をして貰う」
そう言ってギリッダが指差した場所は教会からほどほどに離れた場所だった。
……あれ? 意外と良い場所。
「新人だからな。まずはここら辺でやらせるべきだと思ったんだ。皆んなもそれで良いか?」
またコクコクと頷いていた。
優しっ! 皆んな優しっ!
ごめんなんか、面倒な仕事を渡されるなんて思って。
「よし、じゃあリコだが――」
その後、ギリッダはそれぞれ配置を決めていった。
因みに、リコは俺らと同じ所になった。
まあ仲間同士で打ち解け合う機会をくれたってところだろう。
だが……
「よろしくお願いします、リコさん」
「ふんっ」
ぶっちゃけ、仲良くなれそうにない。
まあそういう反応にもなるか。
こんな場所に今日入って来ていて、更にこんなお面を付けている奴だ。
怪しまれない訳が無い。
「グズグズすんな、行くよ」
「あぁ、すみません」
俺らは駆け足でリコの元へ行き、ギリッダに言われた場所でアルカニット教会の調査をした。
「……」
「……」
どうにかして、リコとは仲良くなっておきたい。
リコは先程の自己紹介時、一番最初に話し出した。
つまり、あのグループのリーダーに近い感じの人なのだ。
だがらギリッダは俺らにリコを付けたのだ。
そう、つまり、ここでしかリコと仲良くなっておけばあの部屋にいた人達からも一応信頼はされる。
だからマジで仲良くなっておきたいんだが……。
「……」
仲良くなれる気配が完全に0だ。
「その……リコさん」
「何?」
「リコさんは何故アルカニット教会反対派に?」
「お前に話す必要があるか?」
「一応、仲間の事は知っておきたいなと」
「仲間、ねぇ……」
リコは頭に手を組んで足を前の方に伸ばしてテコ、テコ、と歩く。
「あのさぁ、せめてそのお面でも取ったら?」
「申し訳ございません。我々はこれを取る事が出来ないのです」
「チッ、だったら仲良くなるなんて無理だね」
「ですが貴方なら分かるでしょう? 我々が仮面を付けなければならない理由を」
「さっぱりだ」
「アルカニット教会に追われているからです」
「……」
彼女は歩くのをやめ、こちらを振り向いた。
「あのさ、私らが所属してるアルカニット教会反対派って、そういう奴らばかりなわけ」
「存じております」
「なら分かるだろ? そんな理由じゃなんの信頼も勝ち取れないって」
「では、一体どうすれば良いのですか?」
「知らね。自分で考えな」
そう言ってリコは歩いて行ってしまった。
「……あ、一緒に行動しなきゃなのに」
急いで俺らも後を追う。
リコはとある所で立ち止まっていた。
黙って俺らもリコの視線の先を見ると……いた。
アルカニット教会の信徒だ。
「いやー、それにしても最近一体どうしたんだろうね?」
「何が?」
「大司教様達だよ。なんか慌ててる様じゃないか」
「そうなのか?」
「お前、何も知らねぇんだな。逸脱者、出たらしいぞ」
わーお、俺らの事だこれ。
「えマジ? 逸脱者出たの?」
「ああ、その逸脱者が中々捕まらないらしい」
「へぇー、大司教様達が手こずるって、相当だな」
「ああ、歴代でも最強の逸脱者だって言われてる」
「ほぉーん。まあ、大司教様達にかかればもうすぐ捕まえられるだろ」
「そうだな」
そんな会話をしていた。
「なるほど……今大司教達は新たに出た逸脱者にご執心、と」
リコがどこからか取り出したメモにペンでそう書く。
「よし。ほら、他の所にも行くよ」
「分かりました」
その後、俺らは指定された範囲内で意外と情報を集められた。
アルカニット教会の信徒って結構いるんだなぁ。
「それじゃ、帰るよ」
「かしこまりました」
「……なんか調子狂うなぁ……」
そうリコが小声で言ったのが聞こえたが、聞かなかった事にして俺らは拠点へと戻るのだった。
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