アルカニット教会反対派拠点
「……で、それがこの地図って事ね?」
「ああ」
俺らは自宅に帰った後、ルリカ達に酒場であった事を説明し、件の地図を渡した。
「この地図に描かれている場所は分かるの?」
「多分だが、酒場の近くにある道具屋の路地裏の方だと思う。まあ近い方だな」
「そうなのね……だったら、これからそこに向かう?」
「そうしたいのは山々だが、少し問題がある」
「それは……何……?」
「俺らを、入れてくれるかどうか問題だ」
「確かに……私たちは今お面を被ってるし……相当怪しまれるかも……」
「下手したら教会の奴らだって言われて殺そうとして来るかもしれない」
「ええっ、そんなの嫌よ」
「だから、これまたちょっとだけ作戦練らないと何だよなぁー」
「どうするの?」
「うーん……俺らがアルカニット教会反対派だって教えられたら良いんだけどなぁー」
「あ……そういえば……良いのあった……少し待ってて……」
ニルがストーブの近くにある自分のバックからとある服を取り出す。
「あっ! それって!」
「うん…… 〝アルカニット教会の……信徒の服……〟」
「ナイス! それがあればギリ信用させられるかもしれない!」
「具体的には?」
「目の前で破く」
「だ……大胆ね……」
「いやまあ踏み絵と似た様なもんさ。自分の信じている大切な物を破くなんて事はしないだろ?」
「まあそうね。意外と信頼させられるかもね」
「いやぁーそれにしてもニル、何でそんなもん持ってたんだ?」
「ただ……倒した時に……何となく……コレクション的な……」
「ま、何にしてもこれで信頼させられる可能性がぐーんと上がった訳だ。んじゃあ早速行こうぜ」
「そうしましょ!」
「行くのー?」
レカがトテトテと近寄ってくる。
「ああ行くぞ」
「私も行ける?」
「勿論だ」
「わーい!」
お面を付けて、手を繋いでから透明化を発動する。
「よし、行くぞ」
そう言って俺らは壁貫通裏技をやってアルカニット教会反対派の拠点へと向かった。
「ここ……っぽいな……」
道具屋の近くの路地裏に入って約10分程移動した場所だった。
いや、俺らは【神速】を発動してたから良いけどこれ普通の人が行ったら相当時間掛かるぞ?
「取り敢えずどうする? 扉をノックするか?」
「そうしましょ」
ドンドン、と扉を叩く。
ガチャ、と音がして扉の上の方にある覗き窓みたいな部分が開く。
「……何者だ?」
「えっとですね、私達はアルカニット教会反対派の方に勧誘されまして……」
「……勧誘された時の紙を見せてみろ」
「こちらです」
覗き窓越しに渡す。
「……くしゃくしゃだな」
「申し訳ありません。不注意で」
「まあ良い、一旦中に入れ、話はそれからだ」
扉が開き、俺らは中に入る。
「それで、ここに来たって事は、アルカニット教会に反対する者達だって事で良いんだよな?」
「ええ、その様な解釈で間違いありません」
「証明できるか?」
「ええ出来ますとも」
ニルからアルカニット教会の信徒の服を貰う。
「それはっ……!」
この服を見て目の前の男は驚く。
まあそうだよな。何で持ってんのって普通なるしな。
「まあ見ていて下さい」
それを俺は、ビリィッと引き裂く。
「……なるほどな」
「我々がアルカニット教会に反対していること、証明出来たでしょうか?」
「いや、全員にやらせろ」
「分かりました」
その後、ルリカ達にも服を破かせた。
「まあ、少なくともアルカニット教会を良くは思ってないってのは分かった。ようこそ。アルカニット教会反対派へ」
「ありがとうございます」
握手をし、少し奥の方へと案内される。
その部屋には大体10人程の人がいて、入って来た俺らをジッと見た。
「今日入った新人だ。ほら、自己紹介してくれ」
「私の名前はヴェリト。私の右側にいるのがレーゼで、その隣がルニト。そしてこの小さい子がレワレと言います」
そう、俺らは虚偽の身分を言った。
これは俺らが移動中に決めたもので、もしかしたら反対派の中にスパイがいるかもしれないという事でこうなった。
因みに、ヴェリトが俺で、レーゼがルリカ、ルニトがニルでレワレがレカだ。
「どうぞよろしくお願いいたします」
まばらな拍手が起こる。
「それじゃあ、次はお前らが自己紹介してくれ」
そう男が言うと、中央にいた金髪の女性が話し始めた。
「私はリコ。冒険者をやってる。一応B」
それだけだった。
次に話し始めたのは隣の細い体の男性だった」
「リューク……リューク・ダレウス……。まあよろしく……」
次は頭にバイキングの様な兜を被ったムキムキの男だった。
「俺様はジャスト様だ! ジャストジャストだ! がははははははは!」
そう豪快に笑ってドサッと腰を下ろした。
脳筋だ。間違いなく脳筋だ。
「あんたのつまんねぇギャグを聞かせるんじゃねぇよ」
リコがジャストの脇腹を肘で突く。
「リ、リィナ・カリナです。よろしくお願いします」
そう言ってペコリとお辞儀をして来たのは、眼鏡をかけた少し小さめの女性だった。
身長は140cmくらいっぽそうだ。
「レーダス・ペルド」
一言自分の名前を言ったのは、水色の髪をした青年だった。
彼は猫背になって何かをいじっている。
「アルセー・トビットだ。よろしく」
今度は逆に明るそうな青年だった。
茶髪だし、見た目から明るい。
「ギガギゲ、グロッルロロロロ」
……なんかモンスターがいる!
「あぁ、アイツは教会の奴にモンスターの姿にさせられちまったんだ。名前はゲリトだ」
「ルロロロロロロ」
「よろしく頼む、だとさ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
お辞儀をすると、ゲリトもお辞儀をした。
「じゃあ次は私ね。私の名前はレイーナ・リーネ。踊って戦える踊り子よ」
へぇー、踊り子なのか。
確かに言われてみればスタイルが凄い良いな……。
「それで最後にこの俺、ギリッダだ」
ここまで案内してくれた男がそう言った。
「それじゃ、この新人も入れて作戦会議をするぞ」
そうギリッダが言うと、皆んな隣の部屋へと移動して行く。
「着いてこい」
ギリッダにそう言われ、俺らも隣の部屋へと行くのだった――。
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