協力者達の居場所の情報収集
「ふぁ〜」
「あ、おはようイイジマ」
「んー。早起きだなぁールリカは」
「まあねー」
今ルリカはキッチンにて料理を作っている。
ルリカ、料理できたのかお前。
「何を作ってるんだ?」
「じじゃーん!」
手をヒラヒラとさせてフライパンの中身を見せて来る。
中には目玉焼きが四つと、ベーコンが八枚入っていた。
うわー、完全にハ◯ルの動く城の朝食だー。
「材料どっから持って来たんだ?」
「冷蔵庫の中にあったやつを使ったのよ」
「……それ腐ってないか? 大丈夫か?」
ここ一応売物件だから電気通って無いぞ……?
「大丈夫よ、この卵とベーコンは冷蔵庫に入れてない状態でも三ヶ月は腐らないってやつなの」
「へぇーそんなのあるんだな」
「ええ。だから大丈夫なのよ。あっ、そろそろ出来るわよー」
「じゃあ、ニル達を呼んでくる」
「お願いするわー」
二階に上がり、ニルとレカを起こす。
「朝食出来たらしいぞー」
「っ……! ご飯っ……!」
ニルがスタタタタと階段を駆け降りていく。
「レカも行くぞー」
「うん……」
寝起きなのでフラフラとしながらこっちに来た。
「ほら、おぶってやるから」
「うん……」
ゆっくりと階段を降り、椅子に座らせる。
ルリカが朝食を運んできてくれて、皆んなで食べた。
普通に美味しかった。
マジで。
因みに食器は俺が【水出現】で念入りに洗った。
「ふぅー、ご馳走様」
「ご馳走様」
「ごちそうさまぁー!」
「ご馳走様……」
全員で食器を片付け、再度リビングの椅子に座る。
「さて、じゃあまず俺らがする事を言うぞ」
「「「……」」」
皆んなが俺の発言を待つ。
「協力者達の所へ行く」
「「!?」」
「……?」
レカ以外が驚いた顔をした。
「協力者達って……え!? いるの!?」
「正確には、協力者に〝なる〟人達、だ」
「なる人達?」
「宗教ってのは、当たり前だが信者がいる。だが、その逆も然り。その宗教の反対派も少なからずいる筈なんだ」
「なるほど! その人達と協力するのね!」
「そうだ。その人達がこの王都にいるのだとしたら、そいつらから学ぶ事も多い」
「? 何を学ぶの?」
「よく考えてみろ。教会は反対派を出来るか限り消したいだろ?」
「そうね」
「だが、彼らは生き残っているんだぞ?」
「……あっ! 王都での生存術!」
「正解だ。この王都での生存術を学べる」
「それを学べれば……かなり長い時間……計画を練る事も出来るね……」
「ああ。だから、絶対に会っておくべき人達だ」
「どこにいるのか分かるの?」
「……分からん」
二人共少しずっこける。
「分からないの!?」
「いやいや、来たばっかの俺が知ってたらもう教会に見つかってるだろ」
「それは……確かにそうね……」
「つまり、どうにかして見つけないと何だよな……」
「何か手掛かりとか手に入る場所は無いのかしら?」
「……一つ……思い付いた……」
ニルが耳をピクピクとさせる。
「何だ!?」
「酒場……酒場で冒険者の話や……傭兵達の話を……聞く……そうすれば……多少は情報が……手に入るかもしれない……」
「なるほど……確かにな……」
酒場ほど情報が集まる場所は無い。
真実か嘘か分からない情報が散りばめられまくるあの空間は、この世界のネットとも言える。
まあ欲しい情報が来るかどうかすら怪しいというとんでもなく使いにくいネットなんだがな。
「なら早速酒場に――」
「いや待て、今俺らは普通に行動出来ないからな。【透明化】を使えばお互いの姿が見えなくなるしで危険だから、ちゃんと計画してから行くべきだ」
「でも……手を繋いでいれば……大丈夫じゃない……?」
「万が一手を離しちゃった場合はどうするんだよ? それに酒場だ。人がぎゅうぎゅう詰めだぞ? まず俺らが落ち着いて会話を聞けるスペースがない」
そう言うと、ルリカが片手を挙げて
「店の……外は……?」
「……それだ!」
俺らは店の外から会話は聞こえないが、ニルなら聞く事が出来る!
あとはその教会反対派の話が出たらニルにその会話をそのまま言ってもらって……って感じだ。
「よし、んじゃあ酒場行くぞ!」
「「「おー!」」」
「あ、えーと、ルリカとレカはお留守番だ」
「「えっ」」
「複数人で出掛けるのはリスクが高くなるだろ」
「そうね……分かったわ。私達はお留守番してる」
「お留守番……」
レカがしゅんとした顔をする。
「おいおい、そうな悲しそうな顔をするなぁ」
「だってぇ……」
「次はレカも一緒に連れてくから」
「……ほんとぉー?」
「ああ、本当だ」
「じゃあ、約束ね!」
「約束だ」
そして俺は指切りげんまんをした後、自身とニルに【透明化】を発動して手を繋ぎ、酒場へと向かうのだった。
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