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【SIDE 教会】世界の不備調査録

「ふぅ〜ん☆ ふぅ〜ん☆ ふぅ〜ん☆」


 ヴァイナが自室にて本を読んでいる。


「いやぁ〜☆ やっぱり昔の私はさぁ〜すがぁ〜☆」


 立ち上がり、クルンと回ってその本の表紙を眺める。


『世界の不備調査録』


「これを書き始めてからぁ〜☆ 大体15年位でしょうかぁ〜☆ 私も歳を取ったんですねぇ〜☆」


 ヴァイナはそう言いながらまた椅子に腰をかけた。


「ふふふぅ〜☆ 久しぶりに読みましたがぁ〜☆ 中々新鮮な気分になれますぅ〜☆」


 足をブラブラとさせてから、ヴァイナは一つのページを開いた。


「うぅ〜ん☆ 不備を見つけたきっかけってぇ〜☆ 何でしたっけぇ〜☆」


 ヴァイナは、少しだけ昔の事を思い出し始めた。





「……あっ☆」


 ヴァイナは、薄暗い林をてくてくと歩いていた。


 この時のヴァイナはまだアルカニット教会には入信しておらず、普通の旅人であった。


「右足が木の根っこに挟まっちゃいました〜☆」


 うんしょと言いながら右足を引きぬこうとするも、中々抜けない。


「もぉ〜☆ 次の町に行かなくてはいけないのにぃ〜☆」


 右、左、上、色んな方向に右足をグイグイとやる。


 その瞬間――


「うわっ☆!?」


 急に右足が外れて倒れる。


「あ痛たたたたぁ〜☆ は、外れて良かった〜☆ ……ん☆?」


 ヴァイナは自分の右足を見た。


「…………きゃあ☆!?」


 無いのだ、右足が。


 右足はまだ根っこの間に挟まっていた。


「え☆!? 一体何がどうなって☆!? えぇ☆!?」


 ヴァイナは少しパニくりながらも、自分の右脚の断面を見た。


「……あら☆」


 断面は赤々くなく、真っ黒だった。


「どういう事かしら〜☆」


 ヴァイナがケンケンをしながら自分の右足の元へ行く。


「……私の右足の断面も〜☆ 真っ暗ですねぇ〜☆ それにぃ〜☆ 今気付いたけれど〜☆ 痛くなぁ〜い☆」


 ヴァイナは黒い部分に人差し指を向ける。


「うわぁ〜……☆」


 黒い部分に、人差し指が埋まって行く。


「どうなってるのかしらこれぇ〜☆」


 指が埋まってもやはり痛くは無い事にヴァイナは少々驚いた。


「これは〜☆ ……体が分断……されているのかしら〜☆」


 右足を持って、引き抜く。


「あっ、抜けた〜☆」


 自分の右足を持っているという、側から見るといささか不可思議な状況だろう。


 ヴァイナは右足をどうにかして右脚にくっ付ける事にした。


「えっとぉ〜☆ ……これで付くかしら〜☆」


 ピタッ、とハマる感覚があり、右足がくっ付いた。


「やったぁ〜☆! 付いたぁ〜☆!」


 ヴァイナは立ち上がってから、少し小躍りをした。


「それにしてもぉ〜☆ 何だったのかしら〜今のぉ〜☆」


 根っこの部分を見て、もう一回右足を突っ込んだ。


 そして……


「右☆ 上☆ 左☆ 右☆ 下☆ 上☆ 右☆ 左☆ 上☆」


 ガコッと音がして、ヴァイナの右足が再度外れる。


「っ!?」


 そう、この時、ヴァイナは裏技(バグ)の存在を初めて知ったのだ。


「これは〜☆ ……メモしておきましょ〜う☆」


 紙とペンを取り出し、今起こった出来事を(したた)める。


「よぉ〜し☆  書けた事ですしぃ〜☆ 次の町へ向かいましょぉ〜か〜☆」


 そして、ヴァイナは次の町へと歩き出した……。





「確かこんな感じだった気がしますぅ〜☆ それから沢山の世界の不備を見つけましたねぇ〜☆」


 ヴァイナが背もたれに寄りかかり、ギィと背もたれが音を立てた。


 その音に続く様に、ドアを叩く音が聞こえた。


「誰ですかぁ〜☆」


「私です」


「あっ、入ってく〜ださぁ〜い☆」


 ヴァイナが扉を開け、外にいた者を招き入れる。


「今紅茶でも淹れてあげます〜☆」


「ありがとうございます」


「それで〜☆ 何のご用ですか〜☆?」


「教皇より、言伝を」


「そうでしたかぁ〜☆ 教皇様は何てぇ〜☆?」


「『忍者 村 確認 否』」


「ふぅ〜む☆ 分かりました〜☆ ありがとうございまぁ〜す☆」


「では、私はこれにて」


 紅茶クイッと一気飲みし、スタスタと部屋を出て行った。


 ヴァイナは座っていた椅子から移動して、本を読んでいた椅子まで移動して再度座る。


「いやぁ〜☆ 久しぶりに会えましたねぇ〜☆」




















































      「逸脱者に☆」


『面白い!』


『気に入った!』


『続きが読みたい!』


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