それでは、早速移動開始!
「皆の衆、急な招集に集まってくれて感謝する」
台の上に立って、百取が忍びの里の忍者達に向かってそう言う。
「招集した理由はただ一つ。お主らに重要な報告があるからじゃ」
そして百取は両手を広げた。
「それは……この村を移動させる事にした」
「「「「「!?」」」」」」
一部の下忍と中忍から、驚愕の声が上がった。
「アルカニット教会に儂らの里の場所がバレてしまったからのぉう……移動するしかないのじゃ」
明らかに不満だって顔をした奴もいるな……。
「じゃが安心するのじゃ、別に今の家を捨てろという訳じゃあ無いわい」
「「「「「?」」」」」
「儂はさっきから移動と言っておるじゃろう? この村ごと、別の場所へ移動させるんじゃ」
「「「「「おぉー!」」」」」
忍者達が歓声の声を上げる。
「更に、今の土地と似た場所に移動するので、あまり不自由もないじゃろう」
その後、皆んなの説得する為という名の細かな説明があった訳だが、普通に皆んな家を捨てたりしなくて良いなら最高だといった雰囲気で聞いていた。
つまり、皆んな移動する事に乗り気だという事だ。
「これにて説明を終える。では、各自自分の家へ戻るのじゃ。
本日の午後15時に、移動するのでそれまで出るんじゃないぞい」
皆んながザザザッと一斉に動き、自分の家へと帰って行った。
「それじゃ、儂らも帰るとするか」
「そうしましょう」
百取とイネが台から降りてくる。
「よっ、良い感じだったな」
「ああ。心配する必要は無かった様じゃな」
「だな」
「それでは、移動する為の準備を始めても良いかね?」
「うおっ!?」
ビビった〜、いつの間にいたんだよリヴェット。
「ああ、頼むわい」
「それでは、忍者の方々全員にこのお面を被せてくれたまえ」
リヴェットがパチンと指を鳴らすと、沢山のお面がマントの中から出て来た。
「これは?」
「我らの団員のお面だ。移動が終わった際に返して貰おう。
そして、お面を付けねば、移動した際に死ぬ事になるので、絶対に付けさせたまえ」
「わっ、分かったわい、影蘭、鬼姫、イネ、お主らも手伝っておくれ」
「「「はっ!」」」
「俺も手伝うよ」
「イイジマ、ありがとうのぉ」
「良いさ、んじゃ、行くか!」
そして俺らは家に帰った忍者達にお面を配っていった。
その間、リヴェット達はこの村を覆うほどの大きさのテントを立てていた。
「いやぁ……凄い速度で立てられていくなぁ……」
「ほんと、凄い手際よね」
「んじゃ、残りのお面も配っちまおう」
「ええ!」
そして、何とか全部のお面をテントが完成する前に配り終えた。
「それでは、移動を開始するが、良いかね?」
会議室にて、リヴェットが俺らにそう問う。
「ああ、もちろんじゃ」
「それでは……団員達よ! 移動を開始せよ!」
団員達がテントに炎を灯す。
「む!? 燃えているが……良いのか!?」
「大丈夫だ百取、あれが彼らの移動方法なんだよ」
「そうじゃったのか……なら良いわい」
「おぉ〜……おぉ〜、おぉぉおぉ〜……」
廻邏毘が、リヴェットの事をマジマジと観察している。
「……何かね?」
「いやぁ〜大丈夫です〜お気になさらず〜」
「廻邏毘よ、何故お主がここにいるんじゃ? 自分の店はどうしたんじゃ?」
「え〜と〜、蛇郎丸に任せて来た〜。というか〜こ〜んな不思議な人が来たら〜、調べるしか〜無くない!? ねぇ〜無くない!?」
ちょっとテンション上がってるなぁこれ。
「まあ、ちゃんとお面は付けているようじゃし、大人しくしているになら良いわい」
「はぁ〜い」
その後、リヴェットのマントをヒラヒラとさせたりしまくっていた。
「さてと、そろそろ燃え尽きるな」
「つまりどういう事じゃ?」
「其方らの言う、移動が始まるのだ」
リヴェットがそう言った瞬間、段々と視界が臙脂色に染まっていった。
そして――完全に染まった。
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