忍者達VSサーカス団の団長……パワーワードすぎん?
皆んなが一度自分の家に行き、戦う準備をした。
「さてと、では行くとするかの」
百取がそう言い、俺らは歩き出した。
「本当に準備は大丈夫なのかー?」
「ははは、これでも儂は忍者達のリーダーをやらせて貰ってるんでな。そこんところは抜かりないわい」
「ふっ、なら良いんだ」
暗い道を歩き、先程の広い空間へと辿り着く。
『ダララララララララララララ』
ドラムロールが鳴り響き、ダンッ! という音と共にリヴェットが現れ、スポットライトが当てられる。
「……準備は出来たようだね」
「ああ、今すぐ始めても構わないぞ」
百取が姿勢を正してググッと体を後ろに曲げた。
「ふははははは! 威勢が良いのは実に良い事だ!」
リヴェットはそう言って指パッチンをした。
ライトがダン、ダン、と付く音がして、観客席が見える様になった。
『『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』』』』』
また、道化師達が観客席にいた。
「なっ、何で数だ……!」
「凄ぇー沢山いるなぁー」
「……」
百取だけが、リヴェットを見続けている。
「イイジマ達よ、少し離れていてくれたまえ。もしかしたら攻撃が当たってしまうかもしれないからね」
「ああ、すまんすまん」
空間の端に俺らは寄り、百取達を見る。
「それでは! いざ! 始めよう!」
『『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』』』』』
その瞬間、彼らは一気にお互いの距離を詰めた。
百取が手裏剣を取り出し、イネが周りに炎を纏わせ、影蘭が刀を抜き、鬼姫が強く拳を握る。
リヴェットはイネとは違う色(まあ臙脂色なのだが)の炎を出し、放つ。
皆んなそれを避けてリヴェットに攻撃を行おうとしたが、リヴェットはまるで踊り子の様にクルッと体を捻ったりしてその攻撃を避ける。
だが流石上忍。躱された攻撃を次の攻撃の始まりに即切り替える。
だが、リヴェットはそれすらも回避した。
凄ぇ……こんな戦い殆ど見た事がねぇ。
インワドの時のを含めても二、三回程度だろう。
それほど凄い戦いが今目の前で繰り広げられている。
「ふぅんっ!」
百取がジャンプして糸付き手裏剣を投げてそのままクルンと空中で後ろに回り、百取の下からイネが出て来て炎の追撃をする。
おおお……気配だけでお互いが攻撃しやすい様に移動してるな……。
影蘭が鬼姫と共に攻める。
二人とも近接特化だと思っていたが、鬼姫が絶対に届かない距離で拳を振った。
「ほぉん……」
なるほど、【念動力】的なスキルを持っているのか。
めちゃくちゃ便利だな。
忍者だし結構使う事もありそう。
いや、常人でも普通に使う事あるか。
「むっ!?」
リヴェット流石にあの距離からは殴られないと思っていたのか、少し驚いた声を出す。
おぉおぉ良いねぇ!
驚いたリヴェットの背後から影蘭が刀で斬りかかるがそれを予知した様に軽やかに避けるリヴェット。
そして炎で作った剣を投げる。
「ふっ!」
影蘭はその剣を華麗に避けて、再度刀で斬ろうとするが、その剣が空中でピタッと止まり、凄い勢いでリヴェットの手へと向かった。
「!」
影蘭はすぐにリヴェットの影に潜った。
「ふははは! 面白い! 我の影に潜れるとは!」
『『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』』』』』
道化師達もめちゃくちゃ盛り上がっている。
「ほっ!」
注意が逸れたリヴェットに炎を飛ばすイネ。
「炎には、炎を」
リヴェットが炎を飛ばし、ぶつかり合って相殺される。
「何っ!?」
イネは炎の数を増やし、さらに攻撃頻度を高める。
その炎を相殺しているリヴェットに、三人がかりで攻撃する。
だが
「ふむ、良い動きだ」
イネ以外の方向にも炎を撒き散らし、攻撃するまでの時間を稼いで回避した。
いやー、見てる分には楽しいが、あれは中々大変だろうな……。
「イ、イイジマ……」
ルリカが横からそろぉーっと話しかけて来た。
「何だ?」
「私、何が起こってるのか全然分からないんだけど……」
確かに、相当速いもんな動きが。
「【神速】使ってみ」
「え? わ、分かったわ。【神速】……うわっ!」
ルリカがあの戦闘をまじまじと見る。
「分かるだろ?」
「ええ……でも何で?」
「【神速】を発動すると、認識能力とかそこらへんも上がるんだよ」
じゃないとあの速度で移動してる時に普通に壁にぶつかっちゃったりするからな。
「あとこれ【薬品生成】」
作った薬品をルリカに渡す。
「このポーションは何?」
「MPが一時的に2000になるポーション」
「えっ、そんなのも作れるの?」
「意外と自由度高いんだよこれ」
ルリカがへぇーと言いながらグビッといく。
「ゴク、うっ……ゴクゴク」
「大丈夫かー?」
「……お、美味しいわね……」
「嘘つけ、顔に不味かったって書いてあるぞ?」
「ご、ごめんなさいイイジマ。あんまり美味しくなかったわ……あはは……」
こういう時に気を使って不味かったって言わないのは凄いと思う。
俺なら遠慮無く不味かったとか言っているだろう。
「大丈夫だ、取り敢えず、それでこの戦いは見れるだろ」
「ありがとうイイジマ」
そして俺らは戦いを再度見始めた。
影から出て来た影蘭が、リヴェットを斬ろうとしたが飛ばれて回避され、炎を飛ばされる。
「っ!」
どうやら炎が掠った様だ。
少し火傷を負っている。
後で【超回復】で治してやろう。
「おらぁっ!」
鬼姫が凄まじい勢いでパンチをする。
側から見ると何もない場所を殴っている様にしか見えないが、ちゃんとその拳はリヴェットに当たっているようだ。
「ふははははは! そのスキル! 非常に興味深い! 後で質問させて貰ってもよろしいかな?」
「るっせぇ!」
鬼姫がパンチする速度を上げる。
「【念力殺!】」
おいおい今不穏な単語が含まれたスキルを唱えた気がするんだが!?
「っ!? ぬおお……!」
リヴェットの体がなっちゃいけないレベルで捻れる。
「良い攻撃だ」
だが、案外余裕そうだった。
「素晴らしい! 素晴らしい!」
『『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』』』』』
「忍者の者達よ、共演に感謝する」
ペコリ、とリヴェットがお辞儀をする。
戦闘が終わったのだと察した彼らは、同じ様にお辞儀をする。
「特に念を使った少女よ」
「あ、あたしぃ?」
「其方の攻撃は素晴らしかった。それに影に入った女よ」
「わ、私は少女に見えないのか……」
「失礼、マドモアゼル。其方の影に入る攻撃も見事だった。他にも其方の手裏剣の細工は非常に興味深かった。炎を使いし獣人族よ、其方の炎、我と相殺し合うという事は相当強力な物だ。素晴らしい」
リヴェットがそう言ってまた、お辞儀する。
「これにて芸は終演だ。約束通り、村の移動を手伝わせて頂こう」
「ありがたいわい。儂らは……少し休ませて貰うとするぞい」
百取は俺の所に来て
「どうじゃった?」
と聞いて来た。
「良かったと思うぞ」
と言うとにんまりと笑って
「ははは、そうじゃろうそうじゃろう」
そう言ってイネの元へと戻った。
「んじゃ、帰るとするか。ありがとなリヴェット」
「また来てくれるその時を、心待ちにしているよ」
ダン、とライトが消えて、それと同時にリヴェットと団員の気配が消えた。
「【光球】、【光球操作】」
すぐに明かりを確保し、周りが見える様にする。
「よし、村に帰ろう」
「ええ!」
そして俺らは、忍びの里へと帰るのであった。
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