薬草の取り方と効果増強
冒険者ギルドにてクエストを受注する。
内容はシンプルで近くにある『ルゲイノ草原』から薬草を取って来るというものだ。
何故これを受注したのかというと魔族を探す為である。
まあぶっちゃけいないと思うがそのルゲイノ草原は前回行ったライガナ森林に近いのだ。
なので受けることにした。
魔族に会ってどうするのかというと、ふつーに魔王の居場所を吐かせる。
んでボコす。
そしたらまあ魔王の居場所をギルドに報告して凸る感じだ。
「それじゃあ行こうぜ」
「分かったわ」
テレポートし、草原に降り立つ。
「うおぉ……草が凄いな……」
「足に刺さって少し痛いわ……」
「我慢して歩くっきゃないな」
「そうね……痛てっ！」
尖った草の先端が足に刺さりまくる。
やっぱ精神的にキツいのはこういうチクチク攻撃な気がする。
たまに【超回復】を発動しつつ薬草採取スポットへと進む。
途中にもポツポツと生えていたので、取っていく。
実は薬草を採取するのには結構コツがいる。
薬草をそのまま引っこ抜けば回復させる為の成分が破壊され、効果が薄れる。
なので――
「こう、捻る！」
グルゥっと一回転して引っこ抜く。
むしろ破壊しているようにも思えるが、上に引っ張るのと横に引っ張るのでは全然違うらしい。
なので薬草を抜く時は捻って引っこ抜くのだ。
「ねえイイジマ、貴方さっきからなんで薬草を抜く時に捻って抜いてるの？」
…………マジすか？
「え？ 分からないのか？ 薬草の回復性能を落とさない為だ」
「……え？」
「捻れば回復性能が落ちないだろ？」
「……初耳なのだけれど……」
「またかよ！」
普通皆知ってる事なんでルリカ達は知らないんだ！？
NPCだからか！？
いやでもルリカはインワドにはいなかったしな……。
というかここまで色んな事を知らないなら俺知識無双も出来る気がしてきたぞ……。
ヤバい、この世界ヤバい。
「薬草ってそんな感じで取るのね……」
「まぁ、そうだ。そうする事によって回復作用のある成分が破壊されないんだ」
「へぇ〜……」
ルリカも近くにあった薬草を捻って引っこ抜く。
「わぁ……何かいつもより綺麗に見えるわ……」
実際回復成分が破壊されてない薬草は明るさが増すからな。
「ほら、さっさと採取場所に行くぞ」
「あぁわ、分かったわ！」
薬草を急いでバックに入れて走ってきた。
そして足の痛さにも少しだけ慣れた頃に採取場所に着いた。
見渡す限り薬草だ。
「すげぇー！」
ゲームでも見た事あったけどパッと見だったからなぁー。
こうちゃんと見ると改めて凄いと実感する。
「んじゃ、取りまくるぞー！」
薬草を捻って取る。
「よし、ちゃんと明るい色だな」
そう確認しつつルリカが用意してくれたバッグに詰める。
……こんなに薬草があるなら俺の足にさっきから草に刺さりまくってできた傷に使っても良いよな？
【超回復】は中々にMPを使うからそう何度も発動できないのだ。
「でもなぁー……薬草は状態を良くしてもあんま回復しないしなぁー」
治るには治るだろうけど、何回も使わないといけないのはめんどい。
「あ、そうだ」
確かここら辺に……
「あったあった」
下から3段目の右側の端っこに、中心に穴が空いた葉がある薬草を手に取る。
そしてそれを……
「どりゃあぁぁあ！」
めっちゃ回す。
竹蜻蛉の様に回してそれを落とす。
そしてそれを左手足で受け取る。
んでそれを落とさない様にバク転。
そして最後にもう一回、回しまくる。
そうすると……
「よーし出来た出来た。んじゃ足に使おーっと」
足の傷に葉が触れた瞬間、治る。
そう、この裏技は――
「やっぱ回復量増強裏技最高ぉー！」
薬草の回復量が爆上がりする。
具体的に言うと100倍化する。
桁が少しおかしいが、まあ……裏技だからね（？）
「イイジマー？ 結構集め終わ――え！？ 何よその薬草！？」
「んー？ 捻って取った薬草の100倍回復効果が上がった薬草」
「どっからそんなの持ってきたのよ！」
「今作った」
「作ったぁ！？」
ポイッと投げてわたす。
「わっ！？」
「足痛いだろ？ 使えよ」
「あ、ありがとう……」
靴を脱いで、足に薬草の葉を当てた瞬間ルリカの足が治った。
「す、凄い……こんな薬草があるなんて……」
「ま、裏技使えばこんなもんだな」
そう言って草原に寝っ転がる。
……痛い。
すぐに起き上がって薬草で治す。
「……便利だなこれ」
前の俺はHP無限と念の為のHP永久回復を裏技でやってたが、それが無くなるとこういう裏技にも感謝が湧いて来る。
「あっ、そうだ」
そういえばなんだが、今朝おばさんに言われた薬草ここで採取できるんじゃね？
「ちょっと他にも薬草取ってる」
「分かったわ」
奥の方へ行き、探してみる。
「……あ！ あった！」
捻って取り、それをバックの外ポケットに入れる。
「なんとか全種類揃った……あと少し薬草を取るか」
その後もルリカと薬草を沢山取り、バックがパンパンになった。
「こんだけ集まりゃ良くないか？」
「そうね、間違いなくクエストはクリアしてるわね」
「じゃあ帰るか」
「そうしましょ！」
そして俺らはまた足に傷を負いながら帰った。
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