そういえば、アレ、作ろうと思って作ってなかったな……材料集めるか
「……寝れない……」
「寝れないなぁ」
修行場に戻った俺らは、布団に横になったが寝る事は出来なかった。
「どうする?」
「どうすると言われてもなぁ、特にする事はないしなぁ」
「……あ」
そういえば、作ろう作ろうと思って作ってなかったものがある。
「何だ? どうした?」
「ちょっと、お料理しないか?」
「お料理?」
「まあ待て、材料がいるからな」
「……まさか、取りに行くのか?」
「思い立ったが吉日。だが俺にとっては思い立ったが吉分何だよ」
「その返しは少しよく分からないが、まあ修行の一環にもなるだろうし、行ってきても良いぞ」
「ありがとな」
「ただ」
「ん?」
近くの山に向かおうとした足を止める。
「その料理、出来たら私にも食べさせてくれ」
「おや、気になるのか?」
「少しな」
「好きか嫌いがかなり分かれるやつだが……大丈夫か?」
「恐らく大丈夫だろうが、どんな料理何だ?」
「臭くてネバネバしてる料理だな」
「……スライムでも食うのか?」
「んな訳ないだろ。取り敢えず、俺はもう行くからな」
「分かった、まあ、そのなんだ、気を付けてな」
「ああ」
そして俺は暗い山に入り、懐かしのメモを取り出す。
そう、これから俺が作ろうと思っているのは、〝納豆〟である。
あのおばさんから貰って大体一ヶ月。
案外忙しかったりで忘れていた。
……一ヶ月で、色々起こったなぁ……。
まあ取り敢えず、メモに書いてある材料をまずは見つけないとな。
「【光球】、【光球操作】」
明かりを確保してから、メモを読む。
「えぇーっと、ソーイビーンと、ウィラージャーフラワーの毒……毒!? カ、カラシャルレの胞子……なんか、凄いのがあったなぁ……」
納豆を作るのに毒を使うのか?
マジで? 死なないか俺?
「まあ、まずは探そう」
【光球】を操作し、メモに描いてあるイラストのヤツを探す。
「うーん、インワドでは普通にあったやつなんだけどなぁ……」
まあ、ウィラージャーフラワーの毒を使おうとしたやつはいなかったが。
「んっ、おっ、これは」
ソーイビーンがあった。
ソーイビーンは意外と何処にでも生えている豆なので、簡単に手に入る。
「ここからが大変だな……」
ソーイビーンより入手が難しくなる。
あまり生えて無いっていうのもあるが、何より色の問題で分かりにくい。
それにその暗闇の中、明かりは【光球】から発せられる光のみ。
難易度は跳ね上がる。
「やると決めたら、やるだけだけどな」
そして俺はソーイビーンを採取し、また歩き始めた。
「ふぅー……やぁーっと見つけた」
あの後、大型のモンスターと出会ったりしつつもウィラージャーフラワーを見つけ、毒を入手した。
そして、今ようやくカラシャルレの胞子を見つけたのだ。
因みに、ウィラージャーフラワーの毒を入手した後、一回毒を舐めてみたのだが、特に何の味もしなかった。
すぐに【超回復】をやったので異常はないだろうが、これ一体なんの毒なんだ?
「よし、さっさと採取してしまおう」
胞子の部分を丁寧に取る。
そして、持ってきておいた瓶の中に入れ、ポケットにしまった。
「さてと、帰るか」
『ブモオオオオオ!』
ドシンドシンと地面が揺れる。
「おいおい嘘だろ!?」
さっきの大型モンスター追ってきてたのかよ!
完全に撒いたと思ってたわ……。
「【氷雨】!」
足音がする方向に【氷雨】をやり、足止めしておく。
『ブオオオオ!』
「よし、今のうち!」
すぐに【神速】を発動した俺は、修行場へと戻った。
「……で、今に至ると」
「なるほどなぁ……馬鹿かお前はぁ!」
「あでっ」
結局、俺は撒けずに修行場に連れてきてしまい、イネが倒してくれたのだった。
も、もちろん俺も手伝ったぞ!? うん!
「はぁ……まあ、取り敢えずどんな料理なのか見せて貰おう。美味かったら、許してやる」
「分かった、まあ見とけ」
そう言って俺は、納豆を作り始めたのだった。
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