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寝耳に水をガチでやるのって卑怯だと思うんですよ

 美沙羅奇(びしゃらき)から戻った俺らは、あの後イネと共に修行をして、また自力で食糧調達をしてから寝た。


 そして、大体三時頃……。


『バシャ』


「うゎらべっちょ!?」


 寝耳に水を掛けられて飛び起きる。


 誰だ今のやったの! ビビって変な声が出ちゃったじゃないか!


 目の前に人がいるのは分かるんだが、いかんせん暗すぎて誰なのか分からない。


「おいおい、いきなり何をするんだ?」


「……貴様か?」


「はぁ?」


「貴様が逸脱者か?」


「!」


 その一言で察した。


 こいつ、アルカニット教の奴か!


 なのですぐに距離を取ろうとしたが……


「あ、あれ?」


「無駄だ」


 足が動かない! な、何がどうなってる!?


「さて、もう一度問うが、貴様が逸脱者か?」


「さてね」


 ボキッ


「!?」


 指の先を折られた。


「あがっ――」


 痛みで叫んだが、何かが口を覆って声は辺りに響かなかった。


「はぐらかさないでちゃんと答えたまえ」


「ぐっ……違ぇよ」


 ボキッ


「うっ」


「嘘も吐くな」


「嘘じゃねぇよ……」


「悪いが、私は嘘かどうか分かるのだ。よって、ハッタリは通じない」


 ま、マジか。


「その嘘探知……ぶっ壊れてるんじゃねぇのか?」


 ボキッ


 また指を折られた。


「がっ」


「舐めた口を聞くな無礼者」


「はぁ……はぁ……」


「さて、先程貴様が言った言葉が嘘だった訳なので、お前が逸脱者で間違いなさそうだな」


「だから違ぇって」


 ボキッ


「あ゛あ゛っ!」


 足の指を折られた。


 くそ……コイツ……拷問慣れしてやがる……。


 手の指に意識を集中させてた後に足の指を折るとは……。


 俺でもあまりやらねぇぞ。


「次の質問だ。お前のやっている逸脱した行為。あれは何なのだ」


「悪いが、もう少し具体的に言え」


 ゴギッ


「っ!」


「お前が我々に逸脱者と呼ばれる所以(ゆえん)となった、常人には出来ぬ行動だ」


「はっ、そんなものないね」


 今回は、折られなかった。


 そう、俺は嘘を言っていない。


 裏技(バグ)は俺以外のNPCでも出来る。


 だからか


「……?」


 彼は物凄く困惑している。


「待て、彼は逸脱者だが、逸脱した行動はしていない……? つまり逸脱者ではない……? どういう事だ……?」


 おーっと、予想以上に混乱しているなありゃ。


 嘘探知に囚われすぎだ。


「はっ、まさか! 常人でも出来る……!? いや、それでは逸脱しているとは言えない……」


 いや合ってる合ってる。それで合ってる。


「【超回復】」


 小声でそう言って、手と足の指を治した。


「……どちらにせよ、貴様が逸脱者である事に変わりはない」


「……」


「次の質問をしよう。貴様は――」


 その後も、男は沢山の質問をしてきた。


 だが俺はそれ全てに真実とも嘘とも取れる答えをした。


 めちゃくちゃ混乱している彼を見ているのは少々気分が良かった。


 まあ、四肢が動かせないから言うて良くならなかったが。


「では、次が最後の質問だ」


「……」


「貴様は――何者だ?」


「俺は……ただの人族だ」


 ボキッと脚の骨を折られたが、痛みを(こら)えて相手を見続ける。


「ふっ、ただの人族が今の痛みを堪えられるとは思えないがな」


「意外と常人にもいるものだぜ?」


 ゴギッと腕を折られた。


「まだ生意気な態度を取るか。まあ良い、意外と考察のしがいがある回答を貰った。楽に殺してはやろう」


「はっ、殺せるかな? 俺はどうやら逸脱者らしいぞ?」


「……窒息死……何か知ってるか?」


「息が出来なくて死んじまうってやつだな」


「今から貴様にはそれを体験して貰おう」


「おいおい、楽に殺してくれるんじゃ無かったのか?」


「ああ、だから一気に肺に水を入れて殺してやる」


 彼がそう言うと、水が口の中に凄い勢いで入ってきた。


 だが……


「!? 何故だ、何故死なない?」


 肺が水で満たされると、人は死んでしまう。


 だったら肺に入らない様にすれば良いじゃない。


 という訳で俺は、肺の入り口を筋肉を使って閉じている。


「ばびべばぼうば(なんでだろうな)」


 因みに、鼻から水を一気に入れた方が早く死ぬ。


 やっぱコイツ多少は苦しめてやろうって気あったじゃねぇか。


「ばあびぴ。【ぽぽおぴゅぷぺん】! 【ぽぽおぷぱい】!」(まあ良い、【炎出現】! 【炎伝い】!)


 炎を出して、そこにワープする事で四肢が封印されている環境から脱出した。


「何っ!?」


「【光球】! 【光球操作】!」


 光球を操作して男の顔を見る。


 ほほぉ、眼鏡を付けたちょっと若々しい男性か。


「くそっ!」


 右手を(かざ)すと、周りから水が迫ってきた。


 なるほど、水で俺の手足を拘束していたのか。


 って事は、水の大司教だな。


 水を操作出来たりするのは強いよなぁ。


 迫ってきた水を避けて、銃をベルトから抜いて発砲した。


「ふっ!」


 だが、銃弾は水の壁によって阻まれた。


「チッ」


 相手に銃という武器を持っているという情報を与えてしま――


 ……あれ?


 待てよ、アイツは銃を〝見た瞬間〟水の壁を作ったよな?


 つまり……()()()()()()()()()()


 だとしたら不味い……!


「はぁっ!」


 彼が両手をこちらに向けると、勢いの強い水が低めに、そして広めに迫ってきた。


「ほいっ」


 即行ジェットパックのスイッチを起動し、浮遊する。


「き、貴様飛べるのか!?」


「まあなー」


 そして俺はクネクネと左右に動きながら銃を発砲した。


 そして運良く銃弾が彼の左腕に当たった。


「くっ!」


 怯んだ隙に、急接近して、ぶん殴った。


「ぐはっ!?」


 そしてすぐに倒れた男に向かって腕を翳し


「【眠り付与!】」


 と叫んだ。


「うっ、うぅ……」


 彼の上げていた頭が地面に落ちる。


 眠った様だ。


「ふぅー」


 流石に疲れた。


「お疲れ様だな」


「なんだ、起きてたのか」


 背後にはニルがいた。


「まあな」


「助けてくれても良かっただろ」


「修行の一環になるかと思ってな」


「流石最高難易度だ」


「はっはっはっ! まあ取り敢えずアルカニット教の大司教に一人で勝ったんだ。よくやったな」


「ありがとな」


 そして俺らは、眠った男に縄と猿轡(さるぐつわ)をして、百取の元へ向かった。


『面白い!』


『気に入った!』


『続きが読みたい!』


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