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修行ってどんなの?

「ここが馬車に乗る場所だ」


「へー、意外と混んでいるわね」


 待合場には俺ら以外にも沢山の人がいた。


 まあ、ここは忍者の里専用馬車の専用の待合場っては訳ではないから、当然ではある。


「さてと、それじゃあ俺らの目的地へ行く馬車に乗ろうぜ」


「そうしましょ!」


 んでまあ、その場所へ向かった訳だが……


「……え? これ?」


「ああ、これだ」


 目の前にはボロボロの馬車があった。


「人は?」


「あそこ」


 近くの団子屋で団子を食っていた。


「ある意味……ヤバイと思うんだけれど?」


「まあな、確かにヤバイな」


 この馬車を待っている人は俺ら以外にいなさそうだ。


「おーい!」


 団子を食っている御者(ぎょしゃ)に声を掛ける。


 すると彼は驚いた素振りをして、団子を急いで食べてこっちに走って来た。


「あぁいやすまんね、まさかうちの馬車に乗りたい人がいるとは思わなんだ」


「取り敢えず、乗せてくれるか?」


「ああ良いとも、目的地は分かっているのかい?」


「ああ」


「……なるほど、帰りかい?」


 どうやらこの人も忍びの様だ。


「いや、帰りではない」


「ふむ、では誰かに誘われたのかい?」


「そうでもない」


「……ならば何だ?」


 御者の目に殺気が込められている。


「安心しろ、情報が漏れたとかではない。俺は前からあの里の存在は知っていただけだ。それで修行をする為に行くだけだ」


「本当かね、まあ、俺は乗った人達を目的地まで乗せるだけ、それ以上の事は知らなんだ」


 そう言って彼は御者席に座り、馬を歩かし始めた。


「さて、と。取り敢えず馬車に乗れたな」


「意外と……疲れた……」


「でもこれで忍者の里に行けるのよね?」


「ああ」


「楽しみー!」


「と言っても、やるのは修行だぞ修行」


「どんな感じのやつなの?」


「まあ、別に忍術とかを極めたりするんじゃなくて、基礎的な身体能力を上げたりするから……まあ普通に綱登りとか走り込みとかそういうのじゃないか?」


 もちろんもっとキツイだろうが。


「そんな感じなのねぇー」


「ま、それの一番スパルタのやつと思ってくれれば良い」


「……降りても良いかしら?」


「ダメだ」


「嫌よぉー! そんな所行きたくないわよぉー!」


 ルリカが馬車から降りようとするのを服を掴んで阻止する。


「お前なぁー、こう言うのも何だが、そのままのステータスや身体能力で教会に行ったら、ただ死ぬだけだぞ」


「……え?」


 教会の奴らは本当に強い。


 信徒だけでレベルは間違いなく50くらいある。


 そして神父とかからはもう凄い勢いでレベルが上がっていく。


 教祖に関しては俺のレベルを余裕で超えているだろう。


 だから、この修行は必要不可欠なのだ。


「俺らに今足りないのは何だと思う?」


「えーと……力?」


「そうだ、力だ、ステータスだ。ステータスはレベルを上げれば身に付く。だが体を操る力はガチで練習しないと身に付かないんだ」


「えーと……つまり?」


「俺らが修行するのは、体の操り方だ」


 俺が毎度毎度やっている壁貫通裏技、あれ、前にも言ったがミリ単位でも体の向きがズレると意味が無い。


 ポンポンやってるが毎回めちゃくちゃ集中してる。


 で、どうやってそんなに体を操れる様になったのかというと……今から行く忍者の修行のお陰である。


 あれの最高難易度の一番難しいレベルをクリアしたのだ。


 あれはマジでキツかった。


 実際全プレイヤーの0.1%もクリア出来ていなかった。


「体の……操り方……」


 ニルが興味深そうに聞いてくる。


「まあ、なんて言うかさ、足の指を動かせる奴と動かせない奴っているだろ?

俺らがやろうとしてるのは、足の指でペン回しが出来る様になる……って感じかな?」


「……やっぱり私降りても……」


「ダメだ」


 そう言ってルリカを座らせる。


「ま、結構頑張れば大丈夫だ」


「本当?」


「ああ、ただ、死ぬ気でやらないとマジでヤバイから気を付けろよ」


「……え、何が危ないの?」


「……」


「ちょっと!? む、無視はやめてよ! 何が怖いのか教えてよぉー!」


 そう言ってルリカほ俺の事をブンブンと揺らすのであった。


『面白い!』


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