街からの唯一の脱出方法
あの後、食事を終え、どう脱出するかの会議となった。
「では……どうしましょう?」
「どうって言ってもなぁ……」
ぶっちゃけどうしたら良いのか思いつかない。
「なんか、秘密の通路的なの……知らないか?」
「知ってたらとっくに教えてますよ……」
「だよなぁー」
マジどうしよ。
「皆んなはなんか思い付いたか?」
「ごめん、何も浮かばないわ……」
「私も……」
「グカー」
レカ寝てる! ……まあ、良いか。
「街の外に通じる通路がありそうな場所って……どこだろうな?」
「まずこの街にそんなものあるんですかね?」
「でも今はそんなあるか無いか分からないものに縋るしかないだろ」
「確かにそうなんですけど……」
「他には、このドームを消すって方法があるが……それをやると、この国が終わるだろうからやめておく」
「あっ、ありがとうございます」
「そうなると……マジでさっき言った通路みたいなのが必要になってくるな……」
そういうのがありそうな所……どこだろ?
「あ……あそこなら……あるんじゃない……?」
「どこだ!?」
「……王宮……」
「あぁー」
確かに、王宮ならば王様が逃げ出す為の通路とかありそうだ。
「なら……王宮に忍び込んで通路から逃げるとするか」
「ええ! そうしまし――」
「待って下さい、まだ通路がある根拠がありません。しっかり調べた方が……」
「いや、それでも王宮に忍び込まないとダメだ」
「何故です?」
「秘密の通路があるにせよ無いにせよ、王様を脅さないといけないからだ」
そう、王宮の秘密の通路なんて王様自身くらいしか知らないだろう。
そして、仮に王宮に無くても、王様が場所を吐いてくれれば良い。
いや、まず俺らを追わない様にさせれば良いか。
そしたら普通に門から出られるし。
「よし、取り敢えず明日少し調べて明後日王宮に忍び込もう、それで良いか?」
「分かったわ……なんか、実感が湧かないわね……」
「仕方ないさ、普通国から追われるなんて事無いんだから」
「明後日ね、明後日……」
ルリカはそう言いつつベットに入った。
「んじゃ、俺らも寝ますか」
「そうしよう……」
「じゃあおやすみミルラ」
「ええ、おやすみなさいイイジマさん」
そして俺らは寝た。
「ふーむ」
翌日、俺は王宮の目の前にいた。
もちろん【透明化】と【足音消去】を使って。
「さてと、まずどこから侵入するか……か」
壁貫通裏技で簡単に柵や城壁は抜けれるのだが、問題は出た先だ。
出た先が兵士が沢山いる所だったら目も当てられない。
「んじゃ、まずはここから行ってみるとするか」
目の前のところ壁を貫通する。
「ここは……?」
長い廊下に出た。
少し探索するか。
「こっちは何だろ?」
チラッと覗いてみる。
『ワイワイガヤガヤ』
どうやら、兵士達の食堂らしい。
皆んな駄弁りまくって食事を食べている。
ま、今は俺の為の警備のせいであまり人はいないが。
「つまり、ここに出てはダメ……と」
他の場所も見てみたが、訓練場っぽい所や就寝部屋の様な所ばかりだった。
うん、マジでここにだけは出ちゃダメだな。
もっかい戻って別の場所から貫通する。
「さーて、ここは一体なんだろな?」
扉があったので貫通して入ってみる。
「くそ! まだ見つからないのか!」
「もっ、申し訳ありません!」
ん? 何だあの人達。
「逸脱者を捕らえる事が出来なければ、この国は終わりだ! 何としてでも捕まえろ!」
「承知しております! 只今、警戒範囲を広げておりまして……」
「全く……あいつはどこにいるんだ……?」
あっ、こいつヴァレスタナじゃないか!
そうか、ここにいるのか……。
ならばここも出ちゃダメだな。
あと、ちょっと【テレパシー】を使うか。
『剣ごめんね?』
「!?」
よし、謝ったし俺もう知ーらね。
「な、何だ!?」
「どうされました!?」
「今、頭の中に変な言葉が流れ込んで来たんだ!
「えぇ!? どういう事ですかそれは!?」
「知るか!」
えー、なんでそんな理由で喧嘩してるんだよあいつら……。
ま、別の場所行こーっと。
そして俺は別の場所から壁貫通裏技をやった。
「おー……ここは……」
薄暗く、色々な物が散乱している。
「倉庫とかか……?」
ここなら出てもそうそうバレないだろう。
よし、侵入場所はここで決定だな。
あと、ここで分かった事がある。
城の内部、インワドと同じだこれ。
つまり、俺はどこに何があるのか分かるのだ。
「よし、これならすぐ王様の所に行けるな」
そして俺は皆んなの報告を聞くために、ミリアの家へと戻った。
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