逃亡生活とか勘弁して下さいよ……
「そ、それほんと!?」
「ああ、大マジだ大マジ」
俺はルリカ達にヴァレスタナに襲われた事を話した。
「それ……相当……ヤバくない……?」
「ああ、めちゃくちゃヤバイ」
王様の命令って事は、今この国の兵隊とかが俺を殺そうとしているって事だ。
「まあ間違いなく【透明化】にお世話になるだろうな」
「あれ……? この街から出ないの……?」
「それがなぁ、今この街から出られないように規制が掛かってるっぽいんだ」
ここに来る途中で、俺らがこの街に入って来た門の周りに衛兵が沢山いたのが見えたのだ。
「え、嘘でしょ……?」
「俺だって嘘だと思いてぇよ」
「本格的に……ピンチ……だね……」
「でらこれ以上この宿に泊まるのも危険だと思うから、別の場所に行こうと思う」
「別の……場所って……どこ……?」
「……まあ、付いて来てくれ」
宿の部屋を出ようとしたが……
「待って」
ルリカが止めた。
「何だ?」
「イイジマは今【透明化】を使わないといけないじゃない?」
「そうだな」
「そうしたら私達は貴方に付いて行けないわよ」
「その点は大丈夫だ、俺は【足音消去】を発動しない。だから、その足音に付いてきてくれれば良い」
「で、でも、他の人の足音が……あ」
「そうだ、他の人に足は無い」
あるのは魚の尾鰭である。
「それに、周りは俺の足音をお前らのだと思うだろうが、ニルなら俺の足音を聞き分けわれる……だろ?」
チラッとニルを見る。
「うん……造作も……ない……」
ニルが腰に手を当ててドヤァという顔をしている。
「ま、そういう訳で大丈夫って訳だ」
「なるほどね……でも、それだと私達が兵士に捕まえられる可能性があるわ」
「あ、確かにな……あーどうするかそれ……」
その可能性を忘れていた。
いや、正確に言うと当たり前すぎて気付かなかったという感じだ。
「なら……こうするのは……どう……?」
「聞かせて貰おう」
「――――」
ニルが自分のアイデアを話す。
「確かに、良いかもねそれ」
「私も良いよー!」
「じゃあ、それで行こう」
「ええ!」
そして俺らは宿を出た。
もちろん、宿の主人にバレない様に。
『ドドドドドドドドドドド!』
「さ、さっきは良いアイデアだって言ったけど……本当に大丈夫これ?」
「大丈夫だ、多分」
「そこは確定して欲しかった!」
さて、ニルが考案した作戦は……
『ドドドドドドドドドドド!』
地面の下を掘って行くというものだ。
うん、イカれていると思う。
だが意外と良いアイデアではあるのだ。
まず、姿を見られない。
そして、地面の下って事はそこでは間違いなく外は見えない。
だが、俺は目的地までの行き方はもう覚えた為、行けるのだ。
まあこの作戦のデメリットとしては……
「うお!? 何だ!?」
「地震か!?」
「海神様の怒りじゃあぁ〜!」
こういう風に地上でパニックが起こるという事だ。
ま、まあ、バレなきゃ犯罪じゃ無いんですよ。
「そろそろ……?」
「ああ、そろそろだ」
因みに何で俺やレカではなくニルが穴を掘っているのかというと、俺やレカだと穴を掘る際に周りごとボコーンといってしまう可能性があるからだ。
ニルだと、剣で斬りつける際のあの爆発で、普通の大きさの穴を掘れるのだ。
いやー、ニルがいて助かったわぁー。
「ここだ!」
「ん……!」
ニルが地上へと向けて剣を振り、爆発が起きた。
「きゃあ!?」
上から女性の声が聞こえた。
よし、ビンゴだな。
「な、何!?」
「安心しろ、俺だ」
「え、イイジマさん……?」
そう、ミルラ達の練習場だ。
「ど、どうしてそんな所から……? 扉をあっちに……」
「今……俺らは追われてるんだよ」
「えっ、えぇ!? 誰に!?」
「この国に」
「えぇ!?」
ミルラ達がめちゃくちゃ驚いた顔をしている。
「だから、どうかお前ん家とかで匿ってくれないか!?」
「わ……分かりました……! イイジマさんには恩がありますし、匿ってあげます!」
「あっ、ありがとうミルラ!」
そして俺はミルラの手を掴んでブンブンと振り、握手をするのだった――。
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