青い海! 白い砂浜! カナヅチ!
「んじゃ、行くか」
「ええ」
「行こー!」
「おー……!」
早朝、俺らは昨日の内にまとめておいた荷物を背負って村を出た。
橋の上の方から一人の老人と一人の少女(?)が見送ってくれていた……気がする。
「それで、どうやって行くの?」
「えーと……まずあの樹に飛び込んで……」
「うん」
「そしたら左の方の樹に飛び込んで……」
「うん」
「そしたら上の枝に登って右の方の木にぶ飛び込んで……」
「う、うん」
「そしたら木の幹の反対側に行って身の前の木に飛び込んで……」
「……」
「そしたら――」
「どんだけやるのよ!」
ルリカがむすーっとした顔をしている。
「仕方ないだろ? 遠いんだから」
「でもテレポート裏技を使えば距離とか関係なさそうじゃない?」
「行き方的なものもあるんだ。裏技は複雑なんだよ」
「それに……本来なら……もっと時間が掛かるから……楽が……出来てる……でしょ……?」
「そうだなー」
「ふふん……」
「何よ、何よその目は」
そんな事を話しながらも、目的の樹の前に着く。
「んじゃ、飛び込むか」
「ふぅー、行きましょ!」
「レッツゴー!」
「あぁ……! レカちゃん……!」
レカがとてとてと走って樹に飛び込んだ。
「全く……ほら俺らも行くぞ!」
そして俺らも飛び込んだ。
そして飛び込みまくって10回くらいして……
「着いたー!」
「長かったわ……」
「う……うぉるうぇろうぇ……」
「大丈夫かーニルー?」
「な……なん……とか……」
ニルはテレポート裏技酔いに慣れてなかったからな、仕方ない。
「それで、ここからどうやって人魚族の国に行くの?」
「まあ待て、まずは海岸に行かないと」
「それもそうね」
そして俺らは海岸に向かった。
「海だねー!」
「初めて……見た……」
「綺麗だろー」
「ほんと、凄い綺麗ね」
ザザーと砂浜に波が押し寄せ、また引いていく。
その時に砂が波の中を舞っている。
「いやーでも、青い海、白い砂浜とはよく言ったもんだなー!」
正にその言葉通りの風景が目の前には広がっている。
「わははー! ははー!」
レカが水を蹴ったりしてパシャパシャと遊んでいる。
平和だなぁ……可愛い……。
「それで、どう行くの?」
「おおっとそうだったな。なぁに簡単だ、潜るんだよ」
「え?」
「スイムだスイム、分かるだろ?」
「で、でも……」
「……おいおい待て待て、やめてくれよ?」
「私……泳げないの」
「……マジかぁー」
ルリカってカナヅチなのかよー!
「よし! 泳げる様になるぞ!」
「い、今から!?」
「今からやんないでいつやるんだよ!」
「わ、分かったわ……やってやるわ!」
そう言って意気揚揚と海に入って行った。
頑張れルリ――
「あばびぶれびばびぼ」
「ルリカァー!」
嘘だろ!? 水深1m未満で溺れるのか!?
「お前……カナヅチじゃなくイリジウムだろ」
「ゲホッ、ゲホッ、いりじ……何それ?」
「世界で一番重い金属」
「失礼ね!」
「普通の人は1m未満で溺れねぇよ!」
「う、嘘でしょ!?」
「レカ見てみろよ!」
そう言って少し奥の方に行ったレカを指差す。
「うわっはっはー!」
『ドゴォーン!』
「「……」」
なんか、海の水を爆発させて飛んで遊んでる……。
「と、取り敢えずまずは浮ける様になろうな」
「はい……」
その後、ちゃぷちゃぷと頑張っているルリカを見て笑いを堪えつつ、何とか1m未満なら溺れない様になった。
「おー、凄いな! よく頑張った!」
パチパチと拍手をする。
「うふふ、ありがと」
「んじゃあ次は3mでも溺れない様にしないとな」
「…………」
「あれ? ルリカー?」
き、気絶してる……。
「仕方ない、寝かせといてやるか」
砂の上に横にする。
「あれ? そういやニルはどこだ?」
辺りを見回すと、ダラーンと砂浜に寝っ転がっていた。
「何してんだニル?」
「……お日様……気持ちいい……」
「なるほど、日向ぼっこか」
俺も試しに横になってみる。
『ドゴォーン!』
『ドカァーン!』
「……少し……うるさい……ね……」
「でも楽しんでるみたいだし、勘弁してやろうぜ」
そう言って俺らは、少し熱い砂を堪能したのだった。
『面白い!』
『気に入った!』
『続きが読みたい!』
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