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どんな関係?

「……お邪魔します」


「帰ったぞ」


 工場に目を輝かせていたソラだったが、家に入るとすぐに借りてきた猫のようにおとなしくなる。

 木造の平屋は外見から想像したよりは内装は綺麗でよく手入れされているのがわかる。入って右の部屋からのそりと男子が出てきた。銀次と同じ三白眼、しかし人相は銀次よりかずっと好印象だろう。身長は160㎝ほど細身ながら背筋は伸びており、顔立ちはシャープだ。イケメンといっても差し支えはないだろう。ただ、表情は硬く怜悧な印象を与えられる。


「お帰り、友達?」


「あぁ、ダチだ。ソラっつうんだ。ソラ、こっちは俺の弟の哲也てつやだ」


「え、えとお邪魔してます」


 縮こまりながらソラが頭を下げる。


「桃井 哲也、中学三年っす。兄貴がお世話になっています」


 向き直り一礼。普段目を見て挨拶することもされることも無いため、新鮮に感じる。


「あっ、高城 空です。挨拶、キチンとできるのすごいね」


「できた弟だろ?」


 ニッと笑って銀次が靴を脱ぎ、ソラもそれにならう。


「普通っす。どうぞ、お茶用意します。兄貴、今日は飯俺が作ろうか?」


「いいや、俺が作る。ちょっと話するから部屋に茶を頼むわ。っとその前にトイレ行くぜ。哲也、案内してやってくれ」


「わかった。ソラ先輩、こちらへどうぞ」


 無表情なままにソラを案内する哲也、ソラが鞄を抱きしめてついて行こうとすると、クンと鼻を動かした哲也の動きが止まる。


「……えっと、哲也君?」


 油の切れたロボのようにギ……ギと哲也が首を動かして無表情にソラを見る。


「……ソラ先輩は兄貴とどんな関係ですか?」


「え、えと……うーんと」


 やや悩み、小さな声で照れながら。


「友達かな?」


 と答えた。


「……」


「ど、どうしたの?」


 その返答にフリーズする弟、『男子用の学ラン』姿のソラをマジマジと見つめている。背景に宇宙が浮かび頭の中からパソコンの駆動音が聞こえてきそうだ。

 そして、再起動。うんうんと頷いて、何か納得した模様。


「すみません。……こっちです」


 案内された一室には勉強机が二つに二段ベッドが一つ。本棚には漫画や問題集などが置かれている。立てかけられていたちゃぶ台と座布団を置いて、哲也は部屋を後にして、すぐに麦茶を持ってきた。


「じゃあ、俺は居間にいるんで……兄貴をよろしくお願いします。ちょっと抜けてますが、自慢の兄なんで」


「え? あぁ、うん」


 ソラを見て再びうんうんと頷いた弟は、そのまま無表情で去っていった。程なくして銀次が部屋に来てソラの前に胡坐をかく。


「よっし、じゃあ。これからどうするか作戦会議を始めようぜ……どうしたんだ?」


「ううん……面白い弟君だね」


「だろ、自慢の弟だ」


「ふふ……似た者兄弟さんだ」


「なんだそれ? 似てねぇって言われんだけどな」


 鞄からノートとペンを取り出した銀次は、ドカリと肘をついて身を乗り出した。


「じゃあ、一緒に作戦を考えようぜ。まずは、ソラと四季がどうして今みたいな関係になったかを教えてくれ。話したくないことはそう言えよ」


「わかった。でも、話したくないことなんて……ちょっとしかないかな?」


 少し困った顔で、ソラは話を始めた。

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[良い点] なんだこの兄弟尊いな
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