第3部 流浪のヨーロッパ編 VOL6「手作りの旅にハマっていく男」 (2004年)
ー流浪のヨーロッパ編 VOL6ー
「手作りの旅にハマってゆく男」
ヴェネツィア 2004年11月
夕方、ヴェネツィア到着ー。
オフシーズンで人が少ないと思っていたけど
すごく賑やかで意外だ。
宮本君に今回の宿の確保の交渉をひとりで
やってみるか、と初めて勧めてみる。
「うん、やってみるよ。」
第1候補の宿は残念ながら満室だった。
そこで紹介してくれた近くの宿に
泊まることにする。
高くはなく、そこそこ清潔で、
観光に便利なロケーションにある宿。
今夜自分らが寝れる場所を初めて外国で
自分ひとりの力でで確保した宮本君は
すがすがしい表情を見せる。
彼はこうして宿の候補を決めて
そこを探して歩いて部屋を確保したり、
スライサーで切り売りしてくれる店で
何種類かのハムやチーズを100gずつ
買って部屋でパンやクラッカーとワインで
楽しんだり、レストランや
デリカテッセンなどで注文したり、
スーパーで買い物したり、列車に乗ったり、
堪能ではない英会話を駆使して
何もかも初めての体験にちょっと苦労
しながらも自分達の力だけでなんとかして
旅を進めていくこのちょっとした
ゲームのようなスタイルの旅が段々
面白くなってきたようだ。
街灯でオレンジ色に染まる
夜のヴェネツィアを歩く。
ここは風景の絵や写真が好きな人には
たまらない街だと思う。
華やかな活気ある雰囲気に宮本君は
「こういうのが外国に来たって感じが
するよねえ!」
と目を輝かせる。
俺もヴェネツィアが大好きだ。
イタリアの中で、というか今まで行った
外国の全ての街の中で一番気に入ってる
場所かもしれない。
前回ひとりで来た時はひたすら毎日
狭い路地をビデオカメラで映しながら
歩き廻った。
まったく迷路みたいな道をわざと
知らない方へ入っていって未知の風景の中で
迷うことを楽しんだのだった。
翌朝、たまってきた洗濯物を宿の近くの
コインランドリーで洗う。
コインランドリーを使うのは日本での生活も
含めて今回が全くの初めて。
新しい体験は何でも新鮮だ。
たかが洗濯でも機械に書いてある英語の
説明を読んでなんとかやり遂げると
達成感がある。
イタリア語でなくて助かったなあ。
持ち歩く服や下着を少なくするために
海外旅行では3、4日に1回は洗濯する。
いつもは部屋の洗面台で粉洗剤で洗う。
機械の脱水だけではイマイチ乾燥
しきってないので持ってきたロープを
部屋の真ん中に渡して全部干す。
干した洗濯物はもちろんジャマだけど、
手作りの旅をしてるという実感が湧いて
なんだかちょっと楽しい。
泊まりでツーリングをするバイク乗りは
安宿の旅やアウトドア、ざっくばらんな
行動には慣れている。
バイク仲間である宮本君も俺のやること、
提案することにたいてい賛同してくれて
とてもやりやすい。
さあ、手作りの旅をいっぱい楽しもうぜ。