第3部 流浪のヨーロッパ編 VOL5「日本人にはフシギな隣国への旅」
ー流浪のヨーロッパ編 VOL5ー
「日本人にはフシギな隣国への旅」
ミュンヘン〜インスブルック〜ヴェネツィア
2004年11月
ミュンヘンから列車でオーストリアの
インスブルックへ向かう。
さあ、これからどんどん南下していくぞ。
インスブルックはスキーのオリンピックで
世界的に有名な街だ。
窓からの風景はさほど変わらず、
雪山と丘が続いてゆく。
向かいの席で宮本君がムニャムニャ寝言を
言いながらなぜかムフフと笑っている。
さ、さすがウワサ通りのヘンタイだ。
どんな楽しい夢を見てるんやろ?
どこで国境を越えたのかもわからないまま
オーストリア入国。
キレイなヨーロッパ調の家が並ぶ向こうに
何気なくどおおーーん!とリッパな雪山の
美しい峰が続いていてびっくりする。
「まさかあっちだけ絵とちゃうやろな?」
宿はいつもどの国へ行っても初日以外は
主に「地球の歩き方」の情報から
その場で決める。
情報が古くて変更されていたり、
間違っていたりで役に立たないことも
ちょいちょいあるけど、
安宿+アルファくらいのレベルの宿を
探すにはちょうどいいけっこう頼りになる
ガイドブックだと思う。
基本的にはまず安い宿を探すけど、
あまり汚いとこや治安の悪そうなとこ、
観光に不便な街のはずれなどは避ける。
ドミトリーはすごく安いけど、
まず知らない人らと大部屋で過ごすのは
プライベートがなくて落ち着かないし、
朝早くに出発する人にガサゴソ
うるさくされたりは迷惑だし、
盗難の可能性なども考えるとどうしても
仕方ない時以外は泊まりたくない。
候補の宿へ直接行ってみてもし満員なら
近くの第二候補にトライ。
「いつもこんな感じでいきあたりばったりで
宿にたどり着くスタイルやねんけどどう?」
と宮本君に意見を訊くと
俺に無理に合わせてるようでなく、
まったく自然に同調してくれる。
よかった。
宿の住所を見ながらスーツケースをゴロゴロ
転がしてると通りに沿ったアパ−トの
2階の窓から顔を出してるおっちゃんが
上からドイツ語?で何か声をかけてきて
「あっち、あっち。」
と指差して教えてくれる。
なんで俺らが今どこに向かってるか
アンタにわかんねんなー???
もおー、笑ってしまうわー。
洒落た店がたくさんあって、川がキレイで、
なかなかのどかな街だ。
羊肉をゆっくりくるくる回して焼いたものを
細長いナイフで切り取って出してくれる
カバブーを初めて食べる。
ハムでもチーズでもなんでもこうやって
大きなカタマリから切り取ってくれるやつが
大好きだ。
やっぱりここもミュンヘンと同じく
ちょっと塩味が強過ぎるけど
なかなかオイシイ。
夜になると街のあちこちがライトアップ
されてイイ感じである。
この旅で初のレストランでのディナー。
翌日、列車でヴェネツィアへ。
南下は続く。
4人掛けで小さいテーブルを挟んでの席に
きっちり4人。
3時間半はちょっとツライ。
ヒコーキでも車でも同じで、
狭い空間にじっと座ってるのが苦痛だ。
(コドモか!)
宮本君は別になんともないと言う。
俺にはひたすら忍耐の13時間のフライトも
彼には「もう着いたのか。」
という感じだったらしい。
俺がヒヨワなのかなあ?
この場の居心地をよくしようと、
同席したイタリア人のおっちゃんと
同じくイタリア人の若い女のひとに
「ちょうど日本を出る前にニュースで
ヴェネツィアの浸水の映像を見たよ。」
と言うといっぱい話しかけてきてくれた。
でも残念ながら2人ともほとんど英語を
話せないから疲れてしまう。
宮本君となんとか意思を伝えようと
ヘタクソな絵を書いたり、
パントマイム?をやったりほとんどクイズ。
それでもこういう異文化交流って楽しい。
やっぱりこの列車でもパスポートを
見せることはない。
大阪から奈良へ、みたいに隣の県に行く
感覚で知らん間にイタリアに入国。
この同席したイタリア人の2人は
パスポートさえも必要とせずに
しょっちゅうことばも違うオーストリアへ
「外国旅行」(海外にならないけど)
してるというわけだ。
島国単一国家日本で育った者としては
想像しがたいものす〜ごく不思議な
隣国同士の関係だ。