第3部 流浪のヨーロッパ編 VOL1「空港で走り回る旅立ち」 (2004年)
ー流浪のヨーロッパ編 VOL1ー
「空港で走り回る旅立ち」
関西国際空港〜ミュンヘン 2004年11月
久しぶりの海外脱出。
うっひょおおおおおーー!
解放だあああああーー!
ずいぶん長い間ガマンしてきたもんだ。
17日間ドイツ-オーストリア-イタリアの旅の
ハジマリハジマリいー。
今回はふたり旅である。
海外旅行初めての岐阜在住の宮本君と
関西国際空港で待ち合わせ。
バイク仲間の彼の愛車はBMW1100R、
俺のはスズキTL1000Rカナダ仕様と
ホンダXR250とNSR50レーサーだ。
関西での日帰りツーリング、信州、和歌山、
奈良などで1、2泊で5、6人から
多い時は関東メンバーらと集合して
30人以上!でロッジやライダーズハウス
という宿泊施設に泊まったり、
一緒に走ったりする。
宮本君はサブバッグやパスポート入れなどの
小物を安く買ってきたよ、と張り切っている。
「ここ(関空)には前に来たことはあるの?」
などと俺は久々とはいえ海外旅行12回目の
エキスパートだからまあ任せなさい、
というややエラそーな態度で軽く訊いてみる。
HISのカウンターで航空券を受け取り、
ゆっくりゴハンを食べて、
X線のゲートをくぐろうとすると係員が
「搭乗券を出してください。」と言う。
「ええ?これって搭乗券と違、、、、
ほんまや、そういやちゃうがな。
すみませーん。 あとでまた来ますー。」
ほんとに久々やし、今までみたいに
旅行会社でなく、直接空港で航空券を
受け取ったことってなかった気がするし、
なんか段取りがよくわからん。
ああそうか、さっきHISでもらった券を
アリタリア航空のカウンターに持っていって
搭乗券を発券してもらうのかあ。
「いやー、ハハッ。 もう完全に忘れてるよ。
さっきの係員の人は絶対俺のこと
海外旅行初めてやと思ったやろねえ。」
宮本君のビミョーに疑惑の色を含んだ視線が
俺に向けられている気がする、、、、。
インフォメーションブースで訊いて
目的のカウンターに向かうと、
「アリタリア航空のチェックインは
間もなく締め切りますので
手続きがお済みでない方はお急ぎください。」
と放送される。
「あちゃー! のんびりゴハン食べてる
場合やなかったかあ!」
慌ててスーツケースをゴロゴローっと
引っ張ってカウンターの前に走り込む。
宮本君のさらに濃い疑惑の色を含んだ視線が
俺に向けられている気がする。
改めてX線のゲートをくぐってから、
免税店とかをうろうろしてると
「アリタリア航空ミラノ行きにご搭乗されます
宮本様、レオ様、ご搭乗の最終案内を
致しております。
24番ゲートにお急ぎ下さいませ。」
と名指しで放送が。
「ぬおーっ、またかあーー!!」
出発する前から走ってばっかりやあ!!
並んで息を切らせて走る宮本君の
もはや確信に満ちた不信の視線が
顔に突き刺さるのを痛く感じる。
(「沈まない太陽」に続く)