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最終話 同級生

 ──放課後になり、俺は待ち合わせ時間になるまで時間を潰すと、自分の教室へと向かった。教室に入ると頬杖をかきながら、一人で窓を眺める飛鳥さんの姿が目に入った。


 教室のドアの音で気付いたのか、飛鳥さんはこちらに顔を向けると、「あ、蒼汰君……もう良いの?」と言って、立ち上がった。


 俺は飛鳥さんに近づきながら「うん、大丈夫」と答える。飛鳥さんは俺に近づき、向き合うように立ち止まった。


「返事の事だけど──」


 俺がそう言い掛けると、飛鳥さんは「ちょっと、待って……心の準備をさせて」と言って、俯いた。


「あ……ごめん」


 飛鳥さんは俺にゆっくり近づき──胸板にオデコをくっつける。俺はちょっとビックリしたが、黙って様子を見ることにした──。


 飛鳥さんのオデコの体温が伝わってきて、何だか恥ずかしい……それに絹のような髪の毛が俺の顔に当たって、くすぐったい……この状況でクラスメイトとか入ってこないよな!?


 そんな事を考えていると、飛鳥さんは行き成り、つま先立ちをしてグイっと俺の顔に自分の顔を近づける。そして──俺のホッペに優しくキスをした。


「え……飛鳥さん?」

「ごめん……この状況でこんなことをするのは、卑怯だと分かってる。だけど──」


 飛鳥さんはそう言って、俺の背中に手を回しギュッと抱きしめる。


「離したくない……あれだけライバルが居るなら、選ばれなくても仕方ないかぁ……何て、何度も何度も自分に言い聞かせたけど、ダメだった! 私──やっぱり初めての人は蒼汰君が良い」


 初めては俺が良いって……何だかエッチィな──って、何を考えているんだ。俺は心の中でコホンっと咳払いをして平静を装う。そして──。


「今のこともそうだけど……飛鳥さんは人見知りなのに、好きな人のために変われる勇気をもった強い人だから、素敵な女性だなって思ってる。だからその……俺も初めての人は君が良い」

「え……」


 飛鳥さんは俺の告白に驚いているようで、俺から体を離し、目を丸くして固まっている。俺は照れくさくて自分の髪を撫で始めた──。


「恥ずかしい話がさ。俺も誰とも付き合った事ないんだ」


 飛鳥さんはクスッと笑うと「そうだったんだね。良かった……じゃあ──」と言って、手を差し出してくる。


 俺が差し出された手を握ると、飛鳥さんは「初めて同士、これからも、よろしくね」と、微笑んだ。


「うん、よろしく」


 こうして俺と飛鳥さんは結ばれ、モテまくり騒動は無事に幕を閉じた──。



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