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第95話 街に埋められた『箱』

大変おまたせしまして申し訳ないです。第三章開始します。

 人生はときに一瞬で何もかもが変わってしまう。


 例えば、突然アニミウムを注射され川に流されてみたり、百年もの長い間閉じ込められていた場所から飛び出してみたり。いや、これは例としてはあまりにも突拍子もない下手くそすぎる説明だけれど、とにかく、人にはそういう瞬間が何度かあって、生活も行動も一度に変わってしまう。好転するか、暗転するかは別にして。


 俺に「カタリナの裏切り」として訪れたそれは、結局は世界が広がる好転に(つな)がったけれど、だからといってカタリナに感謝するつもりはない。そもそもその状況になったのはカタリナのせいだ。今もマジックバッグに死蔵されている彼女の()(きがら)をどうしようかと悩んでいるところ。


 話がそれてしまったけれど、要するに俺が言いたいのは、人生の転換点というのは何度か訪れ、しかもそれは突然だということ。まさか俺もこんなにすぐそれが訪れるなんて思ってもみなかったけれど。

 

 何がきっかけだったのか、と言えば、明らかにそれは『箱』だった。


『箱』がきっかけだった。


 呪いをまき散らしていたシスターこと、セブンスをなんとか倒してデルヴィンに平穏が戻ったあと、彼女が活動の拠点にしていた教会は、多くの人員を投入して徹底的に調べられた。生活場所から、地下にある今は使われていない(ほこり)をかぶった墓地まで、ありとあらゆる場所がその対象になる。セブンスは多くを残していなかったが、ただ一つ有益なものが見つかった。


 彼女の手記だ。


 書かれていたのはほとんどが金銭のやりとりについてだったが、時折、奇妙な数字と「明日は地下に降りなくては」という記述があった。それを頼りに領主は騎士を地下に送って調査を進め、ついにそれを見つけ出した。


 ゴドフリーが話していた「街に埋められた『箱』」。セブンスが守っていたという『箱』だ。『七賢人』に(つな)がる重要なもので、その瞬間までそれがなんのために埋められているのか俺も領主も誰も知らなかった代物。領主に呼び出され、その箱に近づいたのが俺の転機の始まりだった。


 その直前から話をしよう。


明日も更新します。

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