表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/172

第92話 戦いの終わり【改稿済】

 目を覚ますと俺はベッドの上にいた。ここはどこだろう。

 木の天井があって、嗅いだことのないようなにおいがする。


「ニコラ!」


 声が聞こえて、俺に覆いかぶさるように顔が見えた。

 ローザだった。


「良かった……本当に良かった……」


 彼女は涙を流していた。隣に立つグレンもホッとした顔をしている。


 どうやら俺は領主の城にいるらしい。あの後、周囲で警戒していた騎士たちが俺をみつけ、馬車で運んでくれたんだそうな。多分俺は魔力切れで倒れたんだろう。記憶が徐々にはっきりして意識を失う前と今が合致すると、俺は慌てて体を起こした。


「ヒルデは!?」

「いるよ」


 隣のベッドでゴロゴロしてやがる。お前は病人じゃないだろ!


「お前平気なのか?」

「十年分くらい仕事したから十年は休む」

「冗談を言えるくらいなら大丈夫だな」

「冗談じゃないよ!」


 ヒルデは両手を挙げて精一杯の抗議をした。それはそれで問題だった。


 ローザが領主に伝え医者がやってくる。ゴドフリーが光魔法を使えないとわかった今、彼の仕事は大幅に増えるだろうと検査を受けながら思った。


 体に異常はない。けがの一つだってない。本当にただの魔力切れで俺は倒れただけらしい。そして今はまた健康だ。医者が帰るとベッドから立ち上がり、ぐっと伸びをする。領主は近くの椅子に座ったまま言った。


「それで、シスターからは何か聞き出せたのか?」


 俺は領主とローザにセブンスから聞きだしたことを話した。といってほとんど情報は増えていない。


「七賢人の目的はわかりませんでした。それにだれがアルコラーダ周辺にホムンクルスを放ったのかも。わかったのは、あのシスターがセブンスという名前で、アデプトというサーバントの奥義を使えるということだけです。それで100年もの長い間生きることができたと言っていました」

「呪いは全部、あのシスターとゴドフリーが行っていたんだな。これで街には平穏が取り戻されたというわけか」


 領主は俺に手を差し出した。俺が握り返すと彼は(ほほ)()んだ。


「ありがとう。どれだけ礼を言っても足りないよ」


 と、そこで俺は一つ思い出した。


「ゴドフリーは街に『箱』が埋まっていると言っていました。それを見つけるまでは警戒しないと」

「ああ、そうだったな。今教会にあるセブンスの持ち物を調査しているところだ。それでどこにあるのかわかればいいんだが」


 領主は鼻から息をもらしたがすぐに頭を()いて言った。


「まあ、今はセブンスがいなくなり呪いが街から消えたことを喜ぼう」


 俺は深く(うなず)いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ