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第141話 なんか失礼なこと考えてんじゃねえだろうな、ニコラ

 ここで時はかなり巻き戻る。




 ノルデア崩壊の危機を救った俺たちではあったけれど、そのあともいくつか『箱』の処理に追われていた。


 といって俺だって積極的に破壊していたわけではないけれど、少なくとも俺の生活する周りくらいでは破壊しておきたかったし、それに、トモアキに助けを求められることも何度かあった。

 

 あと、キカに連れて行かれることも、度々あった。


 キカ。

 年齢不詳だけど多分二十代。

 腹出しドレス。

 惜しげもないくびれ。


 俺がトモアキに出会うことになったきっかけで、『箱』に初めて触れる俺に立ち会った女性にして、ローザの師匠。


 あと、ドS。


 両足にヒールの高い金属性の靴を履いていて、石造りの地面に高い音を立てながら歩くのだけど、よく聞くと、よがり声みたいなものも混じっているから良く聞かなくていい。


 靴はそれぞれサーバント。

 デクスターとシニスター。

 踏まれて悦ぶ、ドM。


 靴で踏まれて悦ぶのではなく靴自身が悦んでいる。


 世も末。


 キカはその二人を履いて、時に踏みつけ時にタップダンスをしていじめ抜いているわけだけれど、どうも二人をいじめることにはもう飽いてしまっているようで、突発的に俺やローザや近くにいる人をいじめる。

 

 通り魔的、衝動的にいじめるのを止めてほしい。

 

 この人マジで怖いんですけど。



「あ? なんか失礼なこと考えてんじゃねえだろうな、ニコラ」


「考えてない考えてない。あれ? ローザの訓練は終わったのか? きっとまだ終わってないだろ、ほらすぐに行かないと!」



 とか、ローザを生け贄にしようとする最低な俺。

 あとで謝らないと。




 場所はデルヴィン。


 ローザは依然として魔法学校に通ってはいたものの、実技に関してはほとんどキカが教えていて、徐々に化け物じみてきている感が否めない。


 俺とキカは魔法学校から少し離れた場所を歩いていて、と言うか俺がヘッドロックを決められたまま連行されていて、だからローザのことを聞いたのだった。



「おい、お前、アタシのこと馬鹿にしてんだろ。そうなんだな? 次はお前だ」


「なんの順番だよ! 怖えんだよ! と言うかローザに何をしたんだ!」


「いつも通りやさしく丁寧に教えただけに決まってんだろうが。つうか、あいつに教えることはもう何もねえんだよ。だから、最近は学生をいじめることにしている」


「罪のない学生をいじめるな」



 八つ当たりかよ。



「で、どうして今日は俺を連行してるんだ? と言うかそろそろこのヘッドロックを外してくれないか? なんだかんだ俺、この街だと顔が割れてるんで羞恥心があるんだけど」


「外すわけねえだろいっつも蚊みたいに逃げやがって」


「それは俺が鞘で空を跳ぶことを言ってるのか。俺の必殺技を蚊みたいって言うな」


「必殺技? ほう。ではさぞかし立派な名前が付いてるんだろうな。トモアキの《幻影》みたいなものか? ほら、聞いてやるから言ってみろよ」


「…………………………………………《空中鞘歩行》」


「だっせ! つうかお前それで誰か殺したことあんのか。必殺技って言うくらいだからよお」


「ないけど」


「じゃあ必殺技じゃねえじゃん。蚊だよ蚊」


「うううう」



 と唸ることしかできない。


 俺が編み出して愛用している移動法をコケにされた!

 俺をいじめて楽しんでやがる!


 さらにむかつくことにキカの足元から「いいなあいいなあ」と声が聞こえてくる。


 何もよくない!



「蚊はいいから早く答えろよ! 何で俺を連行してるんだ!」


「また『箱』に関係した話に決まってんだろうが、そのくらい解れよ」


次回更新は土曜日です。

新作投稿したのでよろしくお願いします。


『【荒れ地】で育った嫌われ者のDランク冒険者は拾遺者ダイバーとして今日も最下層に潜る』


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