ギルドという存在
ギルド組織を考えていたのだが、加入者への便宜を図ると同時に価格を統制したり敵対勢力への牽制や新規参入への障壁となったりするなど功罪が多くあるなぁと思う。
日本では座という商工業者や芸能者による同業者組合が平安時代から戦国時代まで経済流通を支配していたのだが、織田信長などによる楽市楽座で衰退し、生き残りをかけた一部の商人が御用商人として大名と結びつく。これによって特権商人と政治の癒着が生まれ、経済力が巨大化したことで天下統一事業というそれが豊臣秀吉や徳川家康によって成し遂げられたわけだ。
そして江戸幕府になると楽市楽座の経済政策を暫くは継続するが後に撤回し経済統制政策を採用する。これによって御用商人や特定の商人が組合を作ることで幕府は経済を統制していく。
その過程で冥加金の上納、田沼意次による株仲間制度が確立され、商人たちによる自主的な願株と幕命による御免株が結成され、特に株仲間の公認は、願株の公認を指すことで、幕府財政の助けとなったわけだ。
しかし、経済成長の発展は株仲間という枠組みを形骸化させ、公儀権力によらない商人の自治と自主統制が進んだ。これによって全国規模の経済ネットワークが強化されていた。
そういう部分を見ると統制という部分で障壁にしか見えないギルドという存在も適切な経済環境が整えば統制の枠組みの中でも健全な経済成長を促すことが出来ることを示している。
また、ドイツのギルド組織のそれは社会保険の基礎にもなっていることを考えると扶助組織という側面はやはり軽視出来ないと思うわけだ。
そうなれば無論のことであるが、物語に登場するギルドというモノもそういう側面を意識しないといけないだろう。




