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第16話 肉好きの若者が、肉を振舞いたい話。その1。

昼食のパーティは、屋敷の表門から見えた広い庭ではなく、屋敷の裏手に広がる、もう一つの広い庭で行われていた。


老人と若者が、会場となる庭の端に近いところで様子を伺っていると、丁度アイナスの父親とみられる人物が、最初の挨拶をしつつ、パーティの開始を告げたところである。


なお、アイナスの父親であるブレダン伯爵からは、パーティ開始前に挨拶を受けている。

その際、元々はアイナスが若者を呼んだところから話が始まったが、結果として中規模の立食パーティになってしまったと、謝意を表していた。


老人は問題ないと返していた。

若者はいろんな人に美味しい肉を食べてもらえれば光栄ですと返していた。


そして、肉を食べることも逆に振舞うことも全く遠慮がない若者ではあるが、今回は始めての場所で多人数相手ということで、緊張気味である。


「流石にちょっと緊張しています。」

と老人に声をかけた若者に対して、老人は、

「とはいえ、堅苦しくならんように、色々と考えてくれているようじゃの。」

と返した。


実際、ブレダン家としても、場所から料理から参加者から、何から何まで老人と若者が快く過ごせるように最大限に配慮して進めている。

また、若者へは、準備が出来たらいつでも始めてもらって構わないと告げている。


その配慮自体に気づいている若者は、自分が緊張してもしょうがないと気合を入れなおす。


改めて辺りを見回すと、広い庭での立食形式のパーティであるが、雰囲気も昼食も参加者には好評のようだ。

心地よい陽気の中、和気あいあいといった様子で皆が穏やかに過ごしている。


若者は、そろそろ準備します、と老人に声をかける。

老人は、まあ頑張るがよいの、と若干そっけなく返す。


「…?」


老人の態度に違和感を感じた若者だが、とりあえずは揚げ物に集中することとした。


今回、個人が振舞うにしては結構量が多い。

心置きなく食べてもらうために準備したものだが、余計なことは考えずに集中しなければ上手くいかないだろう。



ちなみに、先日は一部の部位でしか試していなかった揚げ物であるが、両鳥とも、むね部・もも部共に揚げ物に向いていることが分かったため、それぞれ準備してきた。

また、特にゴニアについては、肝の一部が生食可ということで、そちらも準備しており、振舞う機会があればいいなと思っている若者である。


そして、ずいぶん人が増えてしまったようだけど、足りるかな…と考えていると、ふと、

「もしかして、魔物だからと嫌悪感を持たれたり敬遠されたりするのか?」

という考えがよぎった。


むしろその方が一般的な感覚なのでは…、事前にきちんと確認しておくべきだったか…と不安に思い始める若者だったが、肉の美味さを伝えられないのは自分の責任であり、だからこそ出来る限りの努力をすべきだと考え直す。


そして出来れば皆に美味しく食べて欲しいと願いつつ、淡々とパラ揚げを作り続ける。

なお、会場の中央には、揚げて冷ました状態で持ち込んだゴニ揚げが、どでかい皿の上に盛り付けが始まっている。


さて、パーティはここからが本番、お祭りの始まりである。

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