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(A26)『帝国(定刻)崩壊』
(A26)『帝国(定刻)崩壊』
㈠
真実に向けての、自己の世界への包囲網は、ただ単なる言の葉の序言に過ぎない。例えば、定刻崩壊する書物の様なものがあったとして、それが折れて曲がって、形を留めていなくても、実質的には、書物に文字があるならば、定刻崩壊を模した、状態の存在だろう。
㈡
いつだって、形を無くしている様に思えて、その本質を留めているものは、数多くある。帝国にしても、まさに、幽霊の様な状態であっても、何かの機能は有る訳であって、崩壊しつくしても、怨念の様なものが残存すれば、それは、本質的な崩壊ではないのである。
㈢
定刻、我々は、いつもの如く、誰でも何処かへと向かうのである。それは、崩壊の最中であっても、その雪崩、崩れの中で、自己を保ちながら、必死に生き抜くということなのである。帝国、定刻、崩壊、崩壊、しかし、死ぬまで、何があっても、一個人は、完璧に崩壊など、しないのである。