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(A25)『帝国(定刻)崩壊』
(A25)『帝国(定刻)崩壊』
㈠
定刻というものは、勿論、自動で動いている。その時、までの間、我々は定刻に支配され、暗鬱なる浄土の闇と言う闇の中で、一つの閃光が走ったかと思うと、もう既に、我々の眼前を通過して、遥か遠くまで行ってしまう様な、刹那のことを、指しているのである。
㈡
所謂、落馬の様な、心身共に、危険に晒される状態の事を、いとも簡単にすり抜けてしまう様な、奇跡の現象的なことが、帝国で起こっても、それを、定刻、理解する我々の目は、誤魔化せないだろう。例え、それが一瞬であっても、憤怒を持った、自我は、それを刻銘に捉えるのである。
㈢
崩壊とは、そう言った、一種の認知の事を指すだろうし、やがて来る、自己以外の自己と言う自己を、俯瞰して理解すると言った、幻惑を超えた、崇高なる境地の実体である。我々は急がないのである、定刻が来るまでの、時間の間の、猶予執行か。問いは見えない。