1/20
(A21)『帝国(定刻)崩壊』
(A21)『帝国(定刻)崩壊』
㈠
いつからが、始まりで、いつからが、終わりだろう。昔、或る小説に、書いてあった、規定文句を、思い出す日々である。帝国が、今、変容していることは、一つ置いておいて、今、自分の人生が、定刻崩壊するならば、その前に何をするだろう、という言葉が脳裡を掠める。
㈡
箱男にはなりたくない、棒男にもなりたくない、しかし、人間は、いつか、何かになるはず、だったのである。列挙すれば、枚挙に暇がないが、例えば、死をいう一つの完成の時に、人は朽ち絶えてしまうことが、最終作用であるから、それまでに、何になろう、という気持ちが、定刻を過ぎる。
㈢
すると、定刻崩壊とは、その定刻、何かが崩壊して、何かになるが、また、次の定刻までの、猶予が与えられるということだと、理解して良いだろう。時間は待たない、人間が、待つのである。死を待つ、そんなことは、どうでも良い。どうせ死ぬなら、死の定刻までに、何度の定刻を、成就させられるか、ということだ。