39話
「それなら良かったです。……貴方は僕から離れないでくださいね」
「は……はい」
急にドキッとするような言葉に私は心臓を掴まれそうになった。友達としてなのに、その発言はズルすぎる。会長さんの言葉って心臓に悪い。黒炎くんに恋をしていなかったら、今のセリフは……って私は何言ってるんだろう。
私なんかが会長さんと友達になれただけでも奇跡なのに。でも、会長さんにも幸せになってほしいな。あれ? 私は、さっきまで落ち込んでいた会長さんに違和感を覚えた。
「会長さん。もしかして、さっきの演技だったりします?」
「……今更、気付いたんですか。他人にどう思われようが、自分は気にしません。少なくとも、柊黒炎は自分の言ってる言葉は理解してくれます。貴方は自身が言っている通り、少し勉強不足なのかもしれませんね」
「……っ! やっぱり会長さんは意地悪です!!」
私は、もう! とぷぅーと頬を膨らませ、プイっとそっぽを向いた。
「だから自分が勉強を教えているんです。それが終わったら、恋の相談でも何でも聞きますから」
「会長さんありがとうございます! じゃあ勉強が終わったら黒炎くんの話、いっぱい聞いてくださいね」
「やはり貴方は子供っぽいですね」
一瞬、会長さんが微笑んだ気がしたのは私の勘違い? 黒炎くんとはまた違っていて、会長さんの笑顔は大人っぽくてカッコ良かった。
友達というよりは私のお兄ちゃんみたいだな……と心のなかで、会長さんに対する関係を修正した私だった。
「夏祭りですか?」
宿題が一段落し、私は会長さんに黒炎くんのことについて話していた。
「貴方が知らないとは意外でした。そういうイベント事は恋を更に加速させますよ。柊黒炎はそういったゲームをしているなら尚更食いつくと思いますが」
付き合ったことがないというわりに会長さんのアドバイスは的確だった。それにしても、会長さんの口から恋やゲームって単語を聞くのはなんだか新鮮だ。
「た、確かに。近所で夏祭りがもうすぐあるのは知ってたんですけど、誘うかどうか迷ってて…… 」
「今さら躊躇するなんて貴方らしくもない」
会長さんの意見は最もだ。黒炎くんのことを知ると決めた以上、こっちからアタックしないと何も始まらない。だって黒炎くんは私のことを異性として好きじゃないから。
「実は……これこそ意外って思われるかもしれないんですけど。林間学校以来、黒炎くんと会ってないし連絡も来ないんです。だから嫌われてるんじゃないかとか」
「……それは恐らく自分のせいなので気にしないでください。ですが、今日からは落ち着くと思います 」
そういうと申し訳なさそうに謝る会長さんは私から視線を逸らす。




