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神樹の巫女  作者: 昼行灯
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04:ア・族

 転移の扉を出ると見慣れない風景。

 ここは、カ・族の村ではない。何処だろう?


 周りを見ていると誰かが近づいて来る。

 誰だろう、鑑定をする。

 エルフ族同士の鑑定は失礼に値する行為だけど、それは鑑定が気づかれたらの話。

 自慢ではないけど、日々リン達に鍛えられている私の鑑定は、並以上のものでも気付かれない自信がある。


 名前は、アーニア。

 エルフ族。これは、、まさか、、

 性別が女性になっている。つまり、元ハイ・エルフという事。

 スキルは風魔法に弓術とほとんどのエルフが普通に持っているスキルしか無い。


 どういうことなの?

 私のように人間界に行って、そこで女性となることを選んだにしては、持っているスキルが少なすぎる。このようなスキルだけでは己の身を守ることができないとされて人間界へ行くこと自体が許可されないはず。この村の中で、女性になることを選んだということなの?


 アーニアが話しかけて来る。

 「こんにちは、私はアーニア。どうしました?」

 「こんにちは、私はカーサ、カ・族の村へ転移したつもりなんだけど、どうやらア・族の村に来てしまったみたいね」

 アーニアが微笑む。

 「そうですか、転移の扉に不具合でも起きたのでしょうか?」

 「そうなのかしら、困ったわね」

 なんだろう、背筋に嫌なものを感じる。こういう感覚を軽視してはいけない。早くここを去った方が良さそうだ。

 「一度戻って出直すわ」

 そう言って、転移の扉を見ると、閉じている。これは、

 「あら、本当に不具合のようですね。一度繋いだらしばらくは切れない扉のリンクがもう切れてしまうなんて」


 転移の扉を鑑定してみるが、既に閉じてしまっているため、転移先の設定も何も見ることができない。これでは本当に不具合だったのか、意図的に転移先を変更されていたのかも判断できない。


 「カーサさん。カ・族の村へ転移出来るように族長に相談してみましょう」

 アーニアが来るように促す。


 これは、どうしようもない。

 転移の扉の設定方法は、部族によって違うし、おそらくここの魔道具はア・族の者達にしか扱えないように設定されている可能性が高い。


 族長の家へと案内される。


 それにしても、人がいない。この村についてから会ったエルフは前を歩くアーニアだけ。しかし、気配はある。隠れているということか、もしかして鑑定されないため?


 族長の家、屋敷と呼んだ方がしっくりくるかもしれない、背後には神樹が見える。鑑定しようかと思ったが、流石に神樹を鑑定するのは失礼にあたるためやめておく。


 客間へと通される。


 何か違和感が、、する。


 違う、何か忘れているようなもどかしさが、


 アーニアが、族長を連れてくる。


 鑑定する。


 何も見えない!

 そんな!


 「ようこそ、神樹の巫女様。私の名はアテン、ア・族の族長です」


 アテン。

 その名には聞き覚えがある。違う、アーニア、彼女にも覚えがあるのだ。


 トサッと、アーニアが倒れる。


 「!!!」

 まさか空気に!


 とっさに立ち上がろうとするけど、脚に力が入らない。

 「どうしました巫女様。お加減が優れないようですが、、」

 隣で倒れているアーニアの存在が無いかのように、聞いてくるアテン。 


 そう、ア・族のアテン!

 それは、はるか昔に神樹の巫女を失って久しく、エルフ狩りにあい村を蹂躙され、ただ一人のハイ・エルフ、アーニアを拐われた一族。


 静かに滅びゆく一族。


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