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神樹の巫女  作者: 昼行灯
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23/32

23:カーレラ

 ローラン王都、魔道具屋。

 隠密を発動し魔道具屋の前に立ち、周りを見回す。どうもいつもより監視が増えている。

 (何かあったっぽいね)

 (うむ、監視員が殺されたとかじゃないか)

 (かなあ、うーん、どうしよう)

 どうやら、今まで魔道具屋にかかっていた擬似ロックの魔法が解かれている。つまり、普通に扉を開けて中に入れる状態になっているのだ。


 (これ取手が動いたらバレるよね)

 (うぬ、扉まで開いたらアウトだな)

 (だよね)

 隠密してるから私達の姿は見えないけど、扉が開いて閉まったら流石に確認しにくると思う。

 (入ったらロック掛けちゃう?)

 (確認しに来ない可能性もあるのではないか?)

 (不可侵だから?)

 (うむ、夜まで待つか?)

 (いやあ、待てないかな)


 扉を開き、中に入る。


 「んー、あった、これだね」

 擬似ロックの魔道具を発動する。

 「リン、わかるのか。神眼?」

 「ん、違うけど、クロの魔眼でもわかるんじゃない?」

 「むむむ、じーっ!」

 クロが魔眼を発動し魔道具とにらめっこを始める。外に人の気配がする。けど何かできるわけでもないし、気にしないで良いか。


 店の中を見渡す。

 何も無いね。カウンターの奥、そういえばこっちまで入るのは初めてかな。と思いながら中を見るがこちらも何も無い。

 「え〜、上かな、いや、下かな。クロ〜行くよ〜」

 「じーーーっ!」

 「ほら、いつまでも見てないでいくよ」

 クロを抱き上げて、階段を降る。

 「じーーーーーーっ!」

 何故か私をじーっと見てくるクロ。


 地下で正解だったようだ。転移の扉と金庫。それに遠隔通信用の水晶の魔道具。

 「じゃあ、上はカーサの私室だったのかな」

 「乙女の秘密が詰まってそうだな!」

 「乙女の秘密って何さ?」

 「さあ?」

 まあいいけど、さて、どうしようかな。


 転移の扉を見てみる。

 閉じている。あのハーフエルフの記憶の中には帰りのキーワードは無かった。帰る気が無かった?

 いや、重要情報は全て神樹の破片が握っていた。上手くいった場合は何某かの行動をしていたはず。けど、今となっては確かめようも無い。


 金庫を見てみる。

 「これ、アンロックで開くかな?」

 「試してみれみれ」

 「アンロック!」


 カチャン!


 「開いちゃった!」

 「うひょー、根こそぎいただくのだー!」

 頂かないよ! 中を見るが、特にめぼしいものは無い。そういう意味でのめぼしいものではないと言っておく。


 最後は、遠隔通信用の水晶。

 「これの起動は、んー、こうかな?」

 魔力感知の部分にカーサの魔力の波動を当ててみる。


 ………………

 …………

 ……


 ダメだったかな?


 ん、そうでもないっぽい。


 ヴ、ヴヴ、と水晶が鳴動しはじめて、

 「おやおや、誰かと思えば。しばらく連絡もよこさなかったお嬢さんじゃないか、一体何の用さね?」

 繋がったようだ。

 「どうも」

 「なんだいなんだい、ぶっきら棒な返事さね。最近ご執心の人間の口癖でも移ったのかねえ」

 「はあ、おそらくそのご執心の人間です」

 「………………どういうことだい?」

 「リンと言います。カーサの友達です」

 「……そうかい、アタシの名はカーレラさね」

 「はあ、カーレラさん、はじめまして」

 「ああ、はじめまして。で、カーサは居ないのかい?」

 「はい、一月ほど前に故郷から呼び出されたといって、そちらに帰ったと思うのですが」

 「そうさね、その予定だったはずさね。残念ながらこちらには帰ってきていないがね」

 「どういうことです?」

 「それはこちらのセリフさね」


 これは、話が噛み合わない。というわけではなく、そういう事なんだろうな。


 「私、先ほどア・族のハーフエルフに襲われたんですけど」

 「…………ハーフエルフ?」

 「はい、」

 「ア・族にハーフエルフは居ない筈なんだがねえ」

 なんか、普通に疑われてるね。まあそうだよね。

 「まあ、信じられないのはやまやまなんですけど、んー、」

 「信じないというわけではないがね、まず、アンタが何故この魔道具を使えてるのかを説明して欲しいね」

 「えーと、カーサの魔力を真似して起動しました」

 「……ハッ! そうかいそうかい! じゃあ何故ハーフエルフがア・族だと分かったんだい?」

 「鑑定しました」

 「ハハッ! 他にわかってることはあるのかい?」

 「はあ、ハーフエルフの体内に神樹の欠片が埋め込まれてました」

 「ハア!?」

 なんか、ダメみたい。


 まあいいか。

 「取り敢えずそういう事なんで、失礼します」

 「まちな!」

 「はい?」

 「現状は理解したよ。後はこちらで対処するさね」

 「えーと、信じたんですか?」

 私なら信じないけど。

 「ああ、アンタのようなイカれた人間と出会った事があるからね。嘘を言ってないことは解るさね」

 「はあ、そうなんですか」

 そんな人いるんだ。


 「じゃあ、お願いします」

 「ああ、、、、わかってるんだろうね?」

 「なにがです?」

 「これはエルフ族の問題さね」

 「はあ」

 「手出し無用だよ」

 「はあ」

 「……………ハア、そうだったね。アイツもそんなだったよ」

 「はあ、じゃあ、失礼しますね」

 「ああ、、早急に対処するから、少し待つんだよ」

 「はい、では」


 通信をきる。

 ん? そういえばクロ一言も喋らなかったね。なんで?


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― 新着の感想 ―
[一言] あれ?まさかの口調や設定が一緒なだけの別人じゃなくてクスノキさんに出てきた魔道具屋さん本人? …いや、似たような経験した平行世界の本人とか? クロの謎電波受信した的な言動以外でのクスノキさん…
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