表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神樹の巫女  作者: 昼行灯
21/32

21:終わりの始まり

 狩りとは非情なものだ。

 それでも生きる為には、必要な行為である。


 しかしどうだろう、人間は己の享楽(きょうらく)の為に狩りを行う。


 狩りの対象は知能が高いほうが楽しいとのたまう。


 人間を狩るのが一番楽しいとのたまう。


 そのとおりだ。


 音が鳴らないように、ドアベルを外し扉を開ける。

 夜の闇の中に歩を踏み出す。人間の匂いが濃い。


 鑑定を発動し、周囲を見回す。


 家の中からこちらを窺う男がいる。偶然だろうか?

 違うと鑑定結果が告げている。


 ならば、狩りを始めよう。


 与一(よいち)の弓を取り出す。

 フフフ、これは素晴らしい弓だ。


 静かに矢を(つが)え、その時を待つ。獲物の緊張が緩むのその瞬間を待つ。


 視線が外れる。フフフ。


 必中を発動!

 シュート!


 獲物を仕留める。


 狩りはまだ続く。本命を仕留めるまで狩りは続く。


 身を隠し待つ。


 来た。俺を本命まで連れて行ってくれる愚かな生き物。


 尾ける。

 静かに尾けまわす。

 愚かな生き物を鑑定し、正しい選択を、正しい愚か者を尾けまわす。


 狩りは楽しい。

 この瞬間が楽しい。


 見つけた。

 獲物を見つけた。


 可愛らしい獲物だ。


 鑑定する。

 獲物を執拗に鑑定する。楽しい。

 もっと獲物を、全てを知りたい。


 偶然に目が合う。

 その可愛らしい顔を正面から見てしまい。心が躍る。

 堪らない、もう我慢が出来ない。


 今夜、殺そう。


 その前に、周りの邪魔な獲物達を始末するか。


 可愛い獲物を守るゴミ達を一匹づつ殺していく。


 物陰に隠れているゴミを殺す。


 人混みに紛れているゴミを鑑定で判別し殺す。フフフ、ゴミの死を見てゴミどもが逃げ惑っている。


 湧いてくるゴミどもを、来るたびに殺す。


 何人殺したか、誰もいなくなった、誰も来なくなった。


 さあ、出ておいで。俺の可愛い獲物ちゃん。


 怯えなくていいよ、痛く無いように一撃で殺してあげる。


 さあ、


 可愛い獲物が、肩を震わせながら出てくる。


 フフフ、カワイイ。


 必中発動!

 狙いはその可愛らしい心臓だ!


 シュート!


 とっさに逃げ出すが、ダメだよ。必中だからね。


 矢の軌道が曲がり、寸分違わず可愛い獲物の心臓を貫く。


 フフフ、フフフ


 楽しい、タノシイ


 こんな楽しいことはそうそう無い


 アア、まるで、ユメのようだ!


 「そうだね、夢のようだね」

 矢に胸を貫かれた、可愛い獲物が微笑む。

 「いい夢を見れたか?」

 紅い眼をした、黒い悪魔が聞いてくる。


 「ハ? 」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ