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神樹の巫女  作者: 昼行灯
20/32

20:流天

 森を散策していると、

 「もうし、もうし」

 と、ニーガンという若者から声を掛けられる。


 聞けば行商を生業としている人間である。


 ここ、ア・族の森の深層へ命を賭けて商いに来たのだという。


 我等エルフの作る魔道具を売ってくれないかという。


 アテン様が旅立たれて幾年経ったのだろうか、人間の世の情報を得る良い機会と判断する。


 大望の子アーニアには、残念ながら神樹の巫女の才能が無かった。


 人間の世の情報と引き換えに、関わりを持つこととする。




 時が流れる、、、




 ア・族の村に来たニーガンがいう。

 「アテン殿。もう少しお会い出来る間隔を短くしてくれませぬか」

 初めて会った頃とは別人のように変わり果てたニーガンがいう。


 人間とエルフの時の長さの違いを諭す。






 「これでは利が出る前に死んでしまうわい、世間を知らぬバカのくせにワシに説教するなど、片腹痛いわ」






 人間の世界にいるエルフの情報があるという。少し遠出になるが、直接行かねば話を聞けないと諭される。

 「留守の間、頼みましたよ」

 「はい、アテン様」

 心許無いが、すぐに戻る。





 「全てを奪い尽くせ! 火を放て! ギャハハ!」




 全てを失う。

 「アア、アアア、アアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 アテン様がお戻りになる場所を、アテン様が、、


 唯一燃え残った神樹を移し、新たな地に一人だけの村を、アテン様のお戻りになる村を、ア・族の村を再建する。




 時が流れる、、




 「アテン様、アテン様!」

 変わり果てたアーニアが汚らしい人間との間に産んだモノ達と村へ戻ってくる。

 神樹は穢され、村も穢された。ア・族の未来は穢され終わった。




 アテン様、




 それでも、アテン様の戻る地は護らねばならない。




 時が流れる、




 カ・族に才能に祝福された子がいると噂になっている。




 アテン様、




 しかし、その子は人間と共にいるという、穢らわしい。




 アテン様、




 アテン様、その子をア・族の新しい神樹の巫女にしませんか?




 アア、アテン様、そのとおりです。




 アテン様、




 アテン様がお戻りになるその日まで、私が全てを賭けて、御守り申し上げます。





 アア、ワタシのすべて、、、、




 始祖アテン、、、、、サマ、、、、


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