01:神樹の巫女
エルフ。
森の人とも呼ばれる彼等の生態は謎に包まれている。
長寿である。
容姿端麗である。
魔法に長けている。
容姿端麗ではあるが、眉目秀麗と表されるエルフは殆どいない。
それはエルフ族のほとんどが容姿端麗な女性の姿をしているからである。
男のエルフは存在しないのか?
そのような疑問が湧いて来るが、そもそもにおいて、エルフに性別は存在しない。
先入観と呼ばれる、見た目が似ているから生態も同じであろうと判断してしまう、これはどうしようもないことだろう。
この世界には、魔物という存在が人の天敵として実在している。
人間族を代表とする人族と、魔物を代表とする魔族。大前提としてこの二つに分類が行われる現在。
エルフ族は人族の一員としてカウントされているのだ。その生態が男と女、オスとメスに別れているだろうと考える前提は間違っているとは言い難い。
それに、エルフの生態を人間と同じと考えてしまう存在として、人間とエルフの間に生まれたハーフエルフという確たる存在があげられるからだ。
矛盾だらけである。
よって、ここで、エルフの生態を少し紐解いていこう。
まずは最初の疑問。
性別の存在していないエルフ族は、どのようにして子孫を増やしているのか?
エルフは神樹から生まれる。
神樹とは何か?
エルフ族が護る母なる大樹である。
では、何故ハーフエルフは存在するのか?
エルフには普通の者と違い、特別なエルフが存在する。その者にはあらゆる選択肢が存在する。そのひとつに子を産むという選択、つまり、男性になる、女性になるという選択肢が含まれるためである。
人間族との愛という絆を選択したエルフが生み出した結晶がハーフエルフという存在である。
特別なエルフとは?
ハイ・エルフである。
ハイ・エルフとは?
神樹になる可能性を持った特別なエルフである。
全ての可能性を秘めた存在。ハイ・エルフ。
その中でも、特殊なスキルを持って生まれたもの、全てを生み出す、エルフ族の母なる大樹となる可能性を持って産まれた者のことを彼等はこう呼ぶ。
神樹の巫女と。