Memes of killer
男は用心深げに横断歩行を歩く。
響く足音、都会の空気。
男は腰に銃を隠している。
男は足にナイフを隠している。
都会に住む人達は何の心が前もしていない。
8月4日、男は殺す。
快楽のままに人を殺す。
音が響く。声が響く。
また誰かが喚く。
また誰かが泣き叫ぶ。
また誰かが崩れ落ちる。
また誰かの血が散る。
そして一人が笑っている。
橋川 昂、奴は笑っている。
少年は立っている。
少年は目に入る光景が理解できぬ様子で立っている。
少年の目の前にあるのは、バラバラになった父、喋らぬ母、血だらけの妹。
少年は知る。
「恐怖」だ。
「恐怖」が「感情の王さま」だ。
圧倒的「恐怖」の前には、どんな感情も、どんな行動も抑制される。
「恐怖」とは心の金縛り。
少年は笑っている男を憎み、恨み、憧れた。
そして7年後...15歳になった苗雄 翔輝は、宇楼町に訪れた。
暴力団が牛耳るこの町は、犯罪が横行している。
この町は、橋川 昂の出身地であった。
苗雄 翔輝は宇楼第ニ高校に入学した。
部活は帰宅部。
友人もできた。
勉強は嫌いなので、一生懸命はしなかった。
熱中するものは他にあった。
夜中1時から、この男のライフワークは始まる。
犯罪情報マップを頼りに、目的地を決める。
いつものマスクをかぶり、血で汚れたパーカーを羽織る。
さび付いた包丁をバックに隠し、プレハブ小屋から顔を出す。
冷たい空気をマスク越しに吸い込み、暖かくして吐く。
そして駆ける。
苗雄 翔輝のライフワークは恐怖の分配。
「犯罪者に恐怖の手錠をかけてやる。」
ほら。また1人死んだ。




