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Episode1…Blacksmoke

「ヒナタ! 砲撃頼む!」


「任せろ!」


弾ける散弾とともにモンスターが光のエフェクト仮し、空へ舞う。


「流石、ヒナタの砲撃はどんなモンスターもイチコロだね」


満面の笑みを浮かべながらアリサが寄ってくる。


「ったりめぇよ!」




ーー[Knight of island]を始めてもう八ヶ月が経った。


現在、何処の店舗も売り切れるほど莫大に人口が増加しているゲーム[Knight of island]

八ヶ月という短期間で俺等のギルド[Blacksmoke]はプロゲーマーとして認められた。


ゲーム好きな俺は新作のMMORPGが発表されてからずっと先行ベータを待ち、待ちに待って始まった先行ベータからプレイしている。


仮装世界でモンスター達と戦えるというPVを見た瞬間、脳裏に何かが走った。きっとこのゲームはどハマりすると確信が付いていたのだろう。


そして俺は高校の友達、いわゆる、いつメンというやつにこのゲームを無理やりやらせ、案の定ゲーム好きなコイツらは即どハマり、そしてずっと今まで一緒にプレイしているうちに全員プロになっていたのだ。


日本サーバーでの初プロギルドとして、運営側から特殊なスキルなどを頂いたりもした。


実力者と認められて俺らはそれだけでも満足だ。


だが、最近は俺らの強さに互角にやり合える敵はもういない。アップデートで強いモンスターが来るのを待つだけの時間が増えてきていた。


初見の頃なんか何度リスポーンしまくった事か。


レアアイテムなどを狙い俺らをPKしようとする間抜けな奴らも減ってきていて、正直言うと退屈だ。


そして今日はハロウィンイベントとしてジャックという難易度MAXのモンスターを狩りに来ていた。ノーダメで討伐してしまったのだがこれが普通……


ではないよな……




「うぉし! ジャックの心臓ゲット!」


コイツはガードマンのチヒロ。名前が可愛いが体系がでかく俺らのチームにとても貢献している。特殊スキルは【反発カウンター】だ。


1分間、あらゆる攻撃を倍にして跳ね返すスキルだ。


「うわぁ! きもちわるいからこっち向けないでよ!」


コイツは魔術師のアリサ。そこらの魔術師より倍の魔法が使える。特殊スキルは【幻界ビジョン】だ。


10分間、壁の向こう側からでも敵の位置が把握できる。


「ははっ、相変わらずアリサそう言うの苦手だよね」


コイツも魔術師のポアル。魔法の力はアリサと良い勝負だろう。特殊スキルは【貫通スルー】だ。


どんなに分厚い壁でもすり抜けれる。


「みーんなー! みてみてこれ!」


コイツは剣士のマナミ。大剣を好んで持ち、一撃の威力は凄まじい。特殊スキルは【増殖インクリース】だ。


大剣が二つに増え、自分の筋力が増す。


そして俺、銃撃者のヒナタ。近距離で最大級の火力の散弾銃を二丁とスナイパーライフルを持っている。特殊スキルは【砲撃バズーカー】だ。自分の武器の火力を一時的に倍増させる。



こんな感じで俺らはそれぞれチート並みのスキルを所持している。


運営も修正を加えてくれればもうちょっと1試合に熱意が持てるかもしれないのに。





「またつまんないクエスト持って来たのかよ、マナミ」


チヒロが興味なさげな顔をマナミに向け、答えた。


「違うよ! これこれ! 」


マナミが俺たちに向けてきたのはクエストではなく運営側の知り合いからの手紙であった。


内容は、『Blacksmokeの皆様、初めまして、ゲーム会社、関係者倉山と申すものです。 急で悪いのですがギルド周辺の鍛冶屋から目の前の酒場へ来てくれませんか? 急用なのでなるべく急いでください」


プロゲーマーになってからこういう手紙がよく届く。


毎度担当する人も違うし、行っても内容はサッパリ。


プロとして活動している以上、こういうことが当たり前なのだろうか。


前回のミーティングでも急用と呼び出され、行ったはいいが話したのは、このゲームについての質問。


急用とはいったい。


「またかよ、んで何でお前はそんな嬉しそうなんだよ」


呆れた声でチヒロが問う。


まぁそれもそうであろう。


今までの全て謎のミーティング、詳細は伝えてくれなかった。


呆れているのはみんな同じであろう。


すると、


「え!? 知らないの倉山さん!」


チヒロの呆れた顔に呆れ返すかのように驚いた。


「誰だよ倉山さん」


倉山さんどこかで聞いたことが……


「倉山さんってあのプロゲーマーの?」


ポアルが何かを思い出したかのような顔でマナミに問う。


「そうそう! あのプロチーム[完熟みかん]のリーダーの!」


あ、そうだ。


以前、サファイアドラゴン討伐に参加してたあの変な名前のチームのリーダーか。


だが、その可愛げな名前と裏腹に彼等のチームは強者揃いである。


今では次のプロチームとして認められる可能性が一番高いギルド。


その中でもリーダーの倉山さんは別格である。


確か、スキル【ブラックアウト】を運営から頂いたという。


そのスキルが俺ら同様チート並みで、確か10分間、味方以外の周りの重力を10倍重くするだとか。


そんな相手にPKされそうになったら多勢に無勢でもオワコンだろう。


「だがそんな方がなぜ俺らを」


クエストの助っ人として呼ばれる事は無いだろう。


下手すりゃ一人で魔王くらいなら討伐できるスキルだからな。


「わかんない」


目を丸くし、阿保面を向けてくるマナミにチヒロが軽くチョップを入れた。


ナイスチヒロ!





ーー暗いな。


その酒場は居酒屋とか、バーとかとはまた違う重い空気が漂っている。


奥を見ると彼はいた。


「倉山さんですよね?」


ポアルが問う。


「あ、いらっしゃいましたか!」


陽気な表情を浮かべ、応答した。


想像していたより優しそうな方で緊張が解けた。


倉山さん側も急用と言っていた割には落ち着いている。


「倉山さん急用とはいったい?」


「はい……」


再び空気が重くなる。


「皆さん、ご自身のステータスとストレージをご覧ください」


どこか哀しげな表情を浮かべた。


急にどうしたのだろうか。


言われるがまま俺らは自身のステータスを開いた。


「「「「「え?!」」」」」


俺らの驚愕の声がシンクロする。


これは、一体?!


ステータスを何度もスライドさせるが表示される画面は変わらない。


次いで、ストレージも確認する。


やはりない。


ステータスはレベル等が初期値に戻っていた。


古参の貴重なアイテムも全てロスト、取得した技、運営からもらったレジェンドスキル以外のスキルが消えている……


冒険記録も皆無。


初見プレイヤーのステータスである。


だが、得ていたゴールドはそのままだ。


「ログアウトができない……」


慌ててログアウトしようとしたチヒロが呟いた。


「いったいどういう事なんだ!」


チヒロが怒鳴った。


「僕もサッパリわかりません。 先程、キングゴブリンのクエストへ行ったのですが一撃でやられましたよ」


話を聞くと、プレイスタイルに支障は生じないが与えれるダメージが初期設定、スタミナなどのステータスも低下しているので体力がもたず倒されたそう。


リスポーンは恐らく何度でも可能であろう。


倉山さんらは二度と死んだそうだ。


「多分そろそろ街のみんなも気付くだろうね」


現在日本サーバーにログインしているのが10万人程度。


10万人もがゲームに閉じ込められている訳だ。


でも俺らレジェンドスキルあるだけで割とチーターなんじゃね?


俺らが所有するスキル、レジェンドスキルは元々ゲームじたいに存在しない物だったから削除されなかったのであろうか。


話を聞くと、バグでも運営側のミスでもないらしい。


倉山さんはこのゲームの製作者側と親しい関係にあった為、こんな事はありえないと断言していた。


何者かによる計画的犯行。


そう倉山さんは述べた。





ーーBlacksmokeと大きく記された俺らのギルドハウス。


建てたは良いが、今までまともに使用していなかった。


こんな形で役に立つとは。


それぞれ予め決めていた部屋へ入り一夜を過ごすことにした。


ゲームだからか埃などは集っていない。


そういえば何故倉山が呼んだのが俺らだったのだろう。


一切の関わりも無かったのに。


まぁいいか。


システムエラーでもない、計画的犯行か……


自室へ篭り、倉山さんとの会話を整理していた。



コンコンッ!



「ん?」


どこからかノック音がする。


ドアからではない、何か篭ったような高い音。


辺りを見渡す。


「……箱?」


部屋の隅に大きな棺桶があった。


こんな物買ったっけな?


記憶にない所持物に近寄ると、「ヴゥ」と呻き声が聞こえた。


「わっ?!」


何なのだろうかこの棺桶は。


恐る恐る、棺桶を蓋をあける。


中に入っていたのは……









……女の子?

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