表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/105

第七十二話 雰囲気

ー朝。

流はいつもの行動を終えると朝食を作るため、一階に降りた。

リビングのドアを開けるとテーブルの上にはすでに朝食。

そして一枚の書き置きがあった。

『朝食を作っておいたよ。今度、また一ヶ月後に会おう。PS.ヨウにもよろしくね。 by透』

流はその書き置きをクシャリと丸めてゴミ箱に放り込むと、いつもの自分の席についてヨウを待つことにした。

それから5分ぐらいして、ヨウがようやく顔を出した。

やはりいつものように眠そうだ。

「おはよう。ヨウ」

「……ああ。おはよう…」

流が挨拶をすると今にも消えそうな声でヨウも返事を返した。

しかし少し間をおいてから突然、ヨウがハッと目を見開いた。

「うおっ、ど…どうした」

驚きつつも流が尋ねる。

「あ、いや…少し気になることがあってな……」

それだけ言うとヨウも自分の席に着いた。

「「いただきます」」

声を合わせて二人で言うと、二人とも黙々と朝食を食べだした。

「………透さんは?」

しばらくの沈黙が続いた後にヨウが気づいたように流に尋ねた。

流も箸を止めて顔を上げる。

「兄貴ならもう出たよ。また帰ってくるのは1ヶ月後だってさ」

「………そうか」

ヨウは相づちを打つと再び黙々と朝食を食べ始めた。

もともと朝は会話の少ない二人だが、今回の雰囲気は何かおかしい。

そう感じた流がヨウの方に目をやる。

と、ヨウも流の方を見ていたらしく、見事に二人とも視線がぶつかってしまった。

ヨウは慌てて視線を逸らしたが、流はそのままヨウの方を見ている。

だが、決して甘酸っぱい青春もののドラマなどで見るような雰囲気ではない。

「………なあ、ヨウ」

「何だ?」

視線をヨウに向けたまま流が呼びかけると、ヨウはろくに視線も合わせないで返事を返した。

「さっきからどうした?様子がおかしいぞ?」

「そ、そうか?」

戸惑いながら答えるヨウ。

その様子はどう見てもおかしい。

流は箸を置き、真剣な表情でヨウを見つめた。

「……ヨウ。何かあるなら言ってみろ」

「………あまり、お前にとって好ましくないことだが、良いのか?」

「少なくともこの状態を維持し続けるよりは良いからな。言ってくれ」

「…………分かった」

頷くとヨウは一つ、息をついた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ