表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/105

第六十六話 情報

「流?」

洋平が眉にしわを寄せる。

「ああ。お前、確か流と仲が良かっただろう?」

「まあ、そうだな。悪友と呼べる関係にはある」

「そうか。ならば少し尋ねたいことが……」

「お前、身長小せえな」

ヨウが話している途中で洋平がヨウの頭に手を乗せ、撫で始める。

「…………」

「ん?どうした?続けて良いぞ」

そのままの状態で何事もなかったかのようにヨウに促す。

「お前、この状態で話を続けろと言うのか?」

「ああ、もちろん」

「………とりあえず頭から手をどけろ!」

頭に置いてあった洋平の手を振り払う。

「おお、悪い悪い。置きやすそうだったものでつい………いや、俺のことは気にしないで続けて良いぞ」

そう言って再びヨウの頭に手を伸ばすが今度はよけられてしまう。

「チッ………」

「何がしたいんだ、お前は」

不機嫌そうにヨウが尋ねる。

「いや、話を逸らそうかと思ってな」

洋平にそう言われてヨウがハッと気づく。

「そうだ、忘れていた。………話を逸らすと言うことはあまり話したくないということか?」

「まあ、そうだな。第一、何で俺に訊く?流のことだったら流に訊いた方が早いんじゃないか?」

そう言いながら洋平はまだ騒いでいる三人の中の流を指した。

「いや……まあ、確かにそうなんだが……」

「訊きづらいってか?」

「………それもある」

一拍おいてからヨウが頷く。

「『も』?」

「ああ。あいつに訊いてもどうせ、誤魔化されるだけだからな」

「なるほど。と言うことはあいつの過去に触れようとしているわけだ。……あまり感心しないな。そう言うもんは詮索しないのが普通だろ?」

「…………私だってこんな事はしたくない。だけど、それを確かめないと私がここにいる意味がなくなるんだ」

真剣な目で洋平を見つめるヨウ。

洋平はしばらくヨウの顔を見返していると、やがてあきらめたようにため息をついた。

「…………言ってる意味がよく分からん。だけど、その真剣さは分かった。何か事情があるんだな?」

「ああ」

「………分かった。できる限り答えてやる」

「恩に着る」

「ああ。おおいに着てくれ」

洋平が面倒くさそうに呟いた。

「訊きたいことは一つ。一回でもいいから、真剣な時にあいつの口から『悪魔』と言う言葉を聞いたことがあるか?」

ヨウの質問を聞いて洋平が目を閉じる。

そして目を開けてヨウの顔を見ると

「いや、聞いたことねぇな」

と首を振った。

「そうか。それだけだ。協力、感謝する」

「ああ、そうだ」

ヨウが背を向けて流たちの方に向かおうとすると洋平が気づいたように呼び止めた。

「その『悪魔』ってのがどういう意味なのかはよくわからんが、俺が流と会ったのは中学三年の時だ。つまり、その前のことは余りよく知らん」

「そうなのか?」

「ああ。だから、俺が流に知り合う前のことを知りたいんだったら、あいつに聞いてみたらどうだ?」

そう言って洋平が指さした先には由美。

「なるほど。幼なじみか……」

「ああ。まあ、俺が与えられる情報はこれくらいだな」

「そうか。ありがとう」

「いや、別に良いさ。それよりもあいつ等、早く止めさせねぇと遅刻するぞ」

洋平は話している途中からすでにヨウに背を向けて走り出していた。

「っと、そうだった」

ヨウも慌てて三人のじゃれ合いを止めるために駆け寄っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ