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第三十一話 人見知り

コロッケ屋から少し離れたところで流は急に足を止めた。

「流?どうした?」

「いや……ちょっと気になったことがあってな」

深刻な表情で呟く流。

「気になったこと?」

「ああ、お前のことだ」

「私?」

「ああ………お前、もしかして人見知り激しい?」

「……は?」

突然の問いに呆けた声で返してしまうヨウ。

「だから、人見知り。他人に話しかけるのって苦手か?」

「なんだ?いきなり」

「いやな、さっき拓也さんと話してたときに妙にどもってたろ?それで他人と話すのが苦手なのかなって」

「……確かに他人と話すのはかなり苦手だ」

少し考えてからヨウが頷きながら呟く。

「もしかして学校行きたくない理由もそれだったり…?」

「う……」

たじろぎながら一歩下がるヨウ。

それを見て流は小さく笑うとヨウの方に手をおいた。

「何、心配することなんて何もないさ。他の学年は知らんが、俺の知ってる限りではあの俺の学年にいる奴はみんないい奴だし、それにみんなさっぱりとした性格だ。まぁ、たまに変な奴もいるけど…。とりあえず、そう言うわけで友達にはなりやすい。それは俺が保証してやる」

安心させるはずの言葉がいつの間にか友達の自慢話のようになってしまっている。

しかしそんなことを気にした様子もなく、流はヨウに微笑みかけていた。

そんな様子がおかしかったのか、ヨウは含み笑いを漏らしだした。

「?…何だ?」

突然笑いだしたヨウを不審に思って流は顔をのぞき込んだ。

その瞬間、流は両頬をヨウに軽く挟むようにしてたたかれた。

「痛っ!…何すんだよ」

後ろに下がって両頬を押さえながら文句を言う流。

「いや、感謝の気持ちだ」

「……感謝?」

「ああ、お前のおかげで少し気が楽になったよ。ありがとう」

「…そ、そうか」

突然の感謝の言葉に流が照れたように視線を逸らしながら呟いた。

そんな流の様子を見てヨウが悪戯っぽい笑みを浮かべながら流に歩み寄る。

「何だ、照れてるのか?」

「別に照れてなんか…」

「じゃあ、何でそっぽを向く?」

「………」

「お前って真っ直ぐにお礼とか言われるのが苦手なタイプなのか?」

「………」

「…流?」

返事を返さない流に違和感を覚えたのかヨウが流の顔を見る。

流は何か別の方を見ており、その表情は真剣そのものだ。

視線の先には3人のナンパしている男とその中心にいる困っている女の子。

その男たちはいかにも柄の悪そうな格好をしている。

「ごめん、ヨウ。ちょっとここで待っててくれ」

そう言うや否や流は走り出した。

「…流!?」

ヨウもあわててその後に続いた。

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