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第二十八話 デート

玄関にはパジャマからいつもの服に着替えたヨウがいる。

白いシャツにジーパンと言う簡素な服装だ。

ヨウは金髪の長い髪を舞わせながら後から来た流の方に向いた。

「なあ、流」

「?どうした?」

「何なんだ?その格好は・・・」

ヨウは流の服装を頭から足まで見た後で呟いた。

流の服装はズボンをはじめとしてすべて真っ黒。

しかもただ黒いだけでなくほとんどに艶がかかっている。

どう見ても気取っているっようにしか見えない。

しかもワックスでも使ったのだろうか、髪は上を向いている。

しかし流は元々器量はかなり良いのだ。

それらが似合っていないというわけではない。

が、それはあくまで外見だけだ。

普段の流を知っているものならば、あきれるか笑い転げるかの二択だろう。

ヨウは前者だったようだ。

「で?私はそれを見てなんと言えばいいんだ?」

「似合ってる。大好き、っていってくれれば十分さ」

大分調子に乗っているのか、流は自分の前髪を掻き上げながらそう言った。

「似合ってる。大好き」

「おいおい、そんな棒読みじゃ、気持ちが伝わってこないぜ?べイベ」

「・・・・・・じゃあ先に行ってるから、できるだけ離れて歩いてくれよ」

流の言葉を完全に無視し、玄関の扉を開ける。

「ま・・・待て!いや、待ってください。お願い、置いてかないでぇ〜」

先ほどの格好のままヨウの腰にしがみつく。

その姿はあまりにも情けない。

「・・・・・・で?おまえは何がしたかったんだ?言ってみろ」

「いや、デートに行くと思ったら浮かれちゃって・・・・・・」

ヨウは流を振り解くと開けていた玄関のドアを閉めた。

「そう言えば、一つ訊いておきたかったんだが、これはデートなのか?」

「当たり前だろ?若い男女が二人きりで買い物に行くっていったらもうデートとしか言わないだろうな」

流はズボンに付いた埃をはたいて落としながら立ち上がると少し考える素振りをしてからそう言った。

それを訊いてヨウがしばらく考え込む。

「やはり出かけるのは止めておくか・・・・・・」

そしてしばらくしてから小さくため息をつくとヨウはそう言って首を振った。

「って、まてまて!何でデートだって分かって止めるんだよ?それは結構傷つくぞ」

「いや、ちょっとした冗談だ。と言うか早く着替えてこい。私はそんな格好したやつとは並んで歩きたくない」

「・・・・・・やっぱり、この格好だめか?」

「駄目だ」

「うわっ、容赦ねえな 」

「おまえに容赦していたらキリがない。ほら、早くしないと時間がなくなるぞ?」

それを訊いて流が自分のつけている腕時計を見る。

「時間って・・・・・・まだ11時だぞ」

流が呟くとヨウは小さくため息をついて呆れた様子で流を見た。?

「今日はデートなのだろう?だったら買い物以外にいも何かするんじゃないのか?」

「・・・・・・・・・」

しばらく考えた後、流はヨウの意図することが分かったのか少し含み笑いを漏らすと

「そうだな。そろそろ着替えてくるか。デート用に」

と言って二階に上がっていった。

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