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第百三話 類友

喫茶店の中。

流が注文し終えた後で水月も注文し終え、水月が流の方に顔を向けた。

「そう言えば最近あんた、菜月と仲がいいわよねぇ?」

「いや、仲がいいっていうか何というか……」

むしろ懐かれているというのが正しいのだろう。

「言っておく前にも言ったと思うけど、あの娘の行動に恋愛感情は含まれてないから勘違いしない方がいいわよ?」

水月が特に感情を込めるでもなくそう言った。

おそらくそれは本当のことで、水月の言葉も流が勘違いしていないかを本気で心配しての忠告なのだろう。

「ああ」

「……?本当に分かってる?」

「ああ。前にも聞いたことだしな」

「へぇ……何か以外。流って人の話も聞かずにただ自分のことだけ考えてるんだと思ってた」

水月が感心の言葉を漏らす。

その言葉を聞いて流ががっくりとうなだれる。

「あのなあ。お前は一体俺をどんな目で見ているんだ?」

流が尋ねると水月は人差し指を上げに当て、考える仕草をした。

「基本はナンパな性格で、だけどそのナンパも何だか義務感を帯びてる感じで、最近はそのナンパにも興味がなくなっちゃった性格のよくわからない男子高校生………かな?」

「………何かよくわからない認識だな」

「そう?できる限り分かりやすく説明したつもりだけど」

「これで分かりやすくって……分かりにくく説明したら相当なカオス状態だぞ?」

流があきれてため息をつきながら呟く。

「………そう言えばさっき菜月ちゃんの行動に恋愛感情がないって言ったよな?」

「?……そうだけど」

「菜月ちゃんって恋愛したことないの?」

流が尋ねると水月は目を瞑り、自分の額に人差し指を当てた。

そしてしばらくして口を開く。

「無いわね。そんな話あの娘から聞いたこともないし」

「あんなに………か、可愛いのに?」

『可愛い』と言う言葉に思わず言葉をつっかえてしまう流。

しかし水月は特に気にする様子もなく話を進める。

「うん。確かにあの娘、器量はいいけど本人にその気がないからね」

「でも告白とかは?」

「それもね。あの娘ああ言う性格だから、あの娘のことが好きだったとしても告白とかはし辛いらしくて」

「なるほど」

流が納得したように頷く。

「恋愛がしたくないとか?」

「ん?う~ん……それは違うかな。あくまで恋愛対象がいないって言うだけで恋愛をしたくないわけじゃないと思うわよ」

水月が答えると流は腕を組んで考えごとを始めた。

(そうすると薫も望みがないわけじゃないんだな……)

「そう考えると菜月があんたに懐いている理由もわかるかもね」

「え?」

水月の不可解な言葉に流が顔を上げる。

「何でだよ?」

「類友」

「類友……?」

「そ。類は友を呼ぶって言葉知らない?」

「いや、知っているには知っているけどな」

少し思案すると流は水月の言いたいことを理解し、表情を崩さないようにしながらため息をついた。

「あんたの性格を考えれば分かるでしょ。『恋愛対象がいない』、『ナンパな性格』、『周りからの人気は高い』。これだけ同じキーがあれば似ているんでしょうねぇ、あんたたち」

「菜月ちゃんはナンパなのか?」

流が尋ねると水月が声を上げて笑う。

「あっははははは!違う違う。あくまでキーが一緒なだけ。つまり菜月はあの懐きやすい性格で周りが告白しづらくなっているのに対してあんたはナンパな性格のせいで周りが同じような状況に陥っているってだけよ。それであんたも菜月も恋愛がしたくないわけじゃない……と。何なのかしらねぇ。あんたたち実は兄妹きょうだいなんじゃないの?」

「そんなわけないだろ」

軽くあしらう流だが、頬に一筋の汗が流れている。

(危ねーな、こいつ!危うく本質貫きそうになってんじゃないか)

流がその汗を拭いたところで注文した料理がようやく来た。

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