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森の中の管理人は世界を知らず  作者: 煉双 戯六
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2.精霊と魔物と…

一週間を目処にした不定期更新だからと言って遅くなるわけではありません。

早いときもあるのです、、、。


早速、ブックマーク登録されていました、ありがとうございます!

今後ともよろしくお願いします!


木々が折れる音を出しながら、犬の容姿をした、しかし犬より数倍も大きい魔物と呼ばれる生物は歩いていた。

魔物とは従来の動物が何かの拍子に変異した生物のことである。

例えばこの犬の魔物は巨大化するという変異をしたものだ。

巨犬はその巨躯に見合う大量の獲物を探し歩いていた。

元が犬なのだから、当然巨犬は犬としての特徴を引き継いでおり、聴覚、嗅覚が鋭かったのだが、そんな鋭い聴覚を用いずとも聞こえる程の大きな鳴き声が響いた。


獲物だ。


そう理解するよりも早く、巨犬は音の源へと駆けていた。


森の精霊もまた、その大きな鳴き声を聞いていた。

それは事前情報によるところの魔物発生の現場へともうじき到着するという時のことであった。

魔物によって大森林を滅ばされる可能性が十二分にある危機的な状況においても森の精霊は冷静に、無機質に思考し判断する。

この音の主が魔物である可能性、または音の主が別に存在し魔物がこの音に釣られてこの音の元へと向かっている。

以上二点の可能性が最も高いと森の精霊は結論付け、音の発生地点へと迷うことなく浮かんで行った。


森を荒らす巨犬と森を管理する精霊が相対するのはもはや必然的であった。





巨犬の魔物は最早原型を留めておらず、見るも無残な肉塊へと姿を変えていた。

森の精霊が音源へと到着した時には既にこの惨状が広がっていた。

つまり、森の精霊が手を下した訳ではないと言うこと。

その事実はある疑問へと導く。

誰がこの惨劇を繰り広げたのか、ということである。

肉塊の中に光る魔結晶──魔物が体内で生成する魔物固有の結晶──を発見していた森の精霊は当然その疑問へと辿り着いており、大体の見当すら付いていた。

その見当とは勿論、この魔物や自身をこの場に集めた鳴き声の主に決まっている。

そこまで遠くへは移動できないだろう、そう思考した森の精霊はひとまず辺りを見渡す。

すると予想に反して案外近くにいたのか、容易に元凶を見つけた。

その正体は先ほどと違い大きな鳴き声ではなく嗚咽に変わっていたが、未だに鳴いている人間の子供であった。

常人なら驚くであろうが、感情のない精霊にとっては特にどうということもなく、早速人間の子供の観察へと取り掛かっていた。


まず目が行くのは地に届きそうな程伸びた絹のように上品さと艶やかさを兼ね備え、それでいて透き通るような純粋な銀色の髪であろう。

次に長い髪が包み込む顔へと目が行く。

顔立ちは身長に見合って幼いのにも関わらず妙に鋭く整っていて、中性的である。

徐々に全体的に捉えるようになり、身だしなみに目が触れるようになる。

服装はボロボロで片方の肩部が破けてしまい、土埃を被った黒ベースのタンクトップに、下は膝下くらいまでの七分程の長さの先天的なものなのか後天的なものなのかは不明だが灰色のダメージジーンズ、それにアクセントとして首に濁った赤のマフラーという組み合わせである。

なんとも季節感に統一性がない。

得物は特に見当たらなく、奇抜な服装以外の点において銀色髪の子どもの印象としてはどこにでもいそうなごく普通の人間の子供である。

だがしかし、こんな森の奥深くに単身で乗り込み、さらには突発的に発生した魔物を木っ端微塵にしているのだから危険度だけで言えば魔物のそれを遥かに超しているだろう。

しかし、いくら危険度が高いと言えど、見方を変えれば森に被害が出る前に魔物を倒してくれた恩人という捉え方もできる。

先入観に囚われない柔軟な思考を持つ森の精霊は人間の子供が危険人物か森の恩人かであるどちらの可能性も考えることができたが、そのどちらであるかまでは理解できていなかった。

しかし、幸いなことに相手は魔物ではなく人間だ。

人間という生き物は他の動物と比べるまでもないほどの高い知能を所持している。

それはつまり、話が通じるということである。


これらのことから、森の精霊は銀色髪の人間の子どもと会話を試みることを決断した。

リスクは高いが懐柔できた際のメリットも計り知れないものがあるからだ。


そうして森の精霊はゆっくりと子どもとの距離を縮めていった。


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読んで頂きありがとうございました!

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