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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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ケロイド状の傷痕

 今回は、私が知人を介して知り合った人について語ります。何でこうなっちゃったんだろうか……としか、言い様がないですね。




 コウさん(仮名です)は、以前にも登場したイーサンの先輩にあたる人物です。パッと見は普通であり、本人は「ペンキ屋を営んでいる」と言っておりました。そこに嘘はなかったと思います。

 しかし、コウさんもまたイーサンと同じ病を抱えた人でした。つまり、ポン中だったのです。

 このコウさんの場合、恐ろしいのはその腕でした。腕のあちこちに、ケロイド状になった傷が付いているのです。その数は、両腕合わせて十ヵ所は超えていました。

 これは何なのかといいますと……覚醒剤を注射する時に出来た傷、いわゆるシャブ痕です。ただ、普通はちょっとした傷痕なんですよね。パッと見には虫さされみたいな小さな傷なんですよ。ただ、腕の静脈に沿っているという特徴がありますが。

 しかし、このコウさんのシャブ痕は異常でした。百円硬貨ほどのケロイド状の傷痕が、腕の静脈に沿って幾つも付いています。

 私は、ここまで凄まじいシャブ痕を見たことがありません。そもそも、どうすればこんなシャブ痕が出来るのか……詳しいことは分かりませんが、かつてポン中だった知人に聞いたところ「それは、雑菌にやられたんじゃないか」とのことでした。

 皆さんも、病院などで注射をしたことはあるでしょう。その時、まずアルコールで針を刺す部分を消毒し、その上で注射しましたよね。本来の注射というのは、これくらい気を遣うものなのです。

 ところが、ポン中という人種には……当然、そんな知識はありません。彼らは平気で、仲間内で注射器を使い回しします。その結果、肝炎やエイズのような病気になる者が少なくありません。

 しかも、注射のリスクはそれだけではありません。消毒をしないと、体に雑菌をも注入することになるのです。そうなると、皮膚や血管さらには神経までもが、雑菌により侵されてしまう可能性があります。

 さらに、注射針というのはすぐに劣化します。針先が刺さりにくくなるとか……本来なら一回で使い捨てるはずの注射器ですが、ポン中は同じ注射器を何度も腕に刺します。

 劣化し、丸くなってきた針を無理やり静脈に突き刺す……そんなことをすれば、周囲の組織にまで大きな影響があります。私には医学知識はないので、これ以上は分かりませんが、体に良くないことは確かです。


 コウさんの腕に出来た傷痕は、注射により皮膚が雑菌に侵され、しかも治癒も出来ないまま絶え間なく針を刺され……最終的に、ケロイド状になってしまったのです。

 しかも、コウさんの場合は一ヶ所だけではありません。私も数えたわけではありませんが、両腕合わせて十ヶ所を超えていました。

 普通、腕に百円硬貨くらいのケロイドが出来れば、これはまずいと思いますよね。少なくとも、注射はほどほどにしておこう……という意識が働くはずです。

 ところが、コウさんはそれでも注射針を腕に刺し続けました。挙げ句、その腕は見るも無惨な状態になっていったのです……。




 その後、コウさんは警察に捕まり刑務所に行ったそうです。覚醒剤で刑務所に行く、これは最低でも二回は捕まっている計算になります。

 腕にケロイド状の傷痕が十ヶ所以上あり、さらに警察に捕まり刑務所にも行った……にもかかわらず、コウさんはその後も覚醒剤を続けていたそうです。

 今はどうしているのかは分かりません。イーサンとの付き合いが消滅すると同時に、コウさんに関する情報も入ってこなくなりました。

 一つ言えるのは、仮に覚醒剤をやめていたとしても、腕の傷痕は消えていない可能性が高いですね。美容整形などで消すとしても、相当の金がかかるでしょうし。

 ちなみに私の知人は、注射器には気をつけていたそうです。射つ前と射った後には、必ずエタノールで針先や傷口を拭いていたとか。覚醒剤をやめた今となっては、すっかり綺麗な腕になっております。シャブ痕など影も形もありません。

 まあ、皆さんは薬物には縁がないでしょうが……注射が危険だということだけは、覚えておいてください。医学知識のない人間が中途半端な気持ちで手を出すと、一生消えない傷痕が残ることにもなりかねません。依存症という病は別にしても。




 余談ですが、コウさんよりもさらにひどいケースがあります。不衛生な状態で腕に汚い注射針を刺しまくった挙げ句、腕の組織が壊死してしまい……最終的に、片腕の切断にまで至った人がいるそうです。都市伝説のようなものなのかもしれませんが。

 さらに付け加えますと、片腕を切断した後も薬物を射ち続けていた者もいたそうです。ここまでくると、もはやホラーですが。







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